ゲームクリエイター稲船敬二氏、LEVEL5 comceptを昨年ひっそり退職していた。開発中だった新作は“レベルファイブ総がかり”でテコ入れ

レベルファイブの代表取締役社長/CEOの日野晃博氏は3月3日、子会社のLEVEL5 comceptを率いていた稲船敬二氏が、昨年中盤頃に同社を退職していたことを明らかにした。また同社は同日、LEVEL5 comceptの全事業を引き継いだうえで、レベルファイブ 大阪オフィスを新設したと発表した。
LEVEL5 comceptは、5月22日発売予定のスローライフRPG『ファンタジーライフi グルグルの竜と時をぬすむ少女』の開発に携わり、稲船氏はプロデューサーを務めていた。なお、同開発業務のレベルファイブへの引き継ぎはすでに完了しているとのこと。

稲船敬二氏は、カプコンにて『ロックマン』シリーズや『鬼武者』シリーズ、『デッドライジング』シリーズなど、数々の作品を手がけたことで知られるゲームクリエイターだ。2010年にカプコンを退職した同氏は、自身の会社comceptを設立し、『Mighty No. 9』や『ReCore』などを制作。その後2017年にレベルファイブの傘下に入り、LEVEL5 comceptのCCOとしてゲーム・アプリの企画開発に携わっていた。
今回レベルファイブの日野晃博氏は、開発ブログ「5つ星工房日記」を公開。『ファンタジーライフi グルグルの竜と時をぬすむ少女』の開発状況に触れる中で、稲船氏が2024年中盤頃に退職していたことを明らかにした。稲船氏は、現在個人的な情報発信をしていないようで、LEVEL5 comcept退職が公に伝えられたのは初めてのことだと思われる。
そして稲船氏の新天地は、札幌に本社を置くゲーム開発会社ロケットスタジオとなったようだ。実は昨年12月に、ゲームクリエイターズギルドが主催する学生向け成長型ゲームコンテスト「ゲームクリエイター甲子園 2024」の総合大賞審査員に稲船氏が選ばれたことが発表され、そこに「株式会社ロケットスタジオ 執行役員」との肩書きが記されていた。
ロケットスタジオは、元ハドソンの竹部隆司氏が代表取締役社長を務め、札幌本社に加え東京支店と大阪スタジオも存在。近年では、『桃太郎電鉄ワールド ~地球は希望でまわってる!~』『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1』『ソルクレスタ』『チョコボの不思議なダンジョン エブリバディ』などの開発に参加している。同社にて稲船氏はどのような役割を担っているのか詳細は不明だが、同氏の培った経験が活かされているものと想像される。
なお、日野氏の開発ブログによると、稲船氏の退職により『ファンタジーライフi グルグルの竜と時をぬすむ少女』はプロジェクトの再編成を余儀なくされたという。ちなみに本作は何度か発売延期しており、ちょうど“2024年中盤頃”にあたる同年8月にも延期が発表されていた。当時本作は、社内テストにて厳しい評価が付けられ、大きな改訂が必須に。そして日野氏がプロデューサーを引き継ぎ、全社プロジェクトとして開発を進めていったそうだ。
『ファンタジーライフi グルグルの竜と時をぬすむ少女』は、PC(Steam)/Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S向けに5月22日発売予定だ。また、レベルファイブは4月11日に番組「イナズマイレブンV ヒーローズショーケース 2025」を放送し、『イナズマイレブン 英雄たちのヴィクトリーロード』の発売日などを発表する予定となっている。