KickstarterやSteamの早期アクセス 開発初期の利用はリスクありとモリニュー氏語る

ゲームスタジオ22Cansのピーター・モリニュー氏は、開発初期の段階で利用するKickstarterSteam早期アクセスが、ゲームに壊滅的な影響を与えるリスク要因になりうると、自身の考えを明らかにした。海外メディアtechraderのインタビューにて発言している。先日、「Free-to-Playはゲーマー全員が望むスタイル」と語ったモリニューだが、新たにKickstarterの利用方法について、大胆な意見を披露している。

 


KickstarterやSteamの早期アクセス、利用するなら開発終盤に

 

モリニューが開発中の『Godus』は、2012年12月にKickstarterにて約52万ポンド(約9700万円)の開発資金獲得に成功している。当時のほかのプロジェクトと比較しても、大きな成功をおさめたといえる獲得額だ。だがモリニュー氏は、Kickstarterは同作に大きな損害を与える要因でもあったことも示唆している。そして今後、もしKickstarterを再び利用するならば、開発の初期段階ではなく、開発を終えるころに利用するとしている。

KickstarterとSteamによる早期アクセスをやって学んだことがある。内容が確定しプレイアブルになる前の利用は、最終的なゲームのクオリティに大きく影響をあたえる可能性がある"請けおい"であり、非常にリスキーであるということだ。もし再びやるなら、開発の初期段階でKickstarterはやらない。開発の終盤か、完成に向け動きだしたころにやるだろう。二度とKickstarterをやらないと言ってるわけじゃない。ただもしやるなら、その時にはデモがダウンロード可能で、すでにゲームがプレイできるということだ。

モリニュー氏は、「ここにアイデアがあるんだ、もしお金をくれたらゲームにすることができるよ」というスタイルが、革新的なゲームの開発に貢献しないと続けている。開発中のタイトルをサポートするユーザーは、これらで開発者が伝えているゲーム像を信じるが、実際に完成したゲームがそれと大きく異ることはしばしばある。実際にモリニュー氏も、2013年9月に『Godus』に当初計画していなかった有料ブーストアイテム「ジェム」を導入し、ユーザーから大きな批判を浴びた。

Kickstarterのゲーム部門では、2012年後半に『Broken Age』から続いたブームが沈静化しつつある。ゲームコンサルティング企業のICO Partnersは、2014年前半に成功したプロジェクト数や獲得資金額が、昨年比で半分以下に下落していることを今年9月に伝えている。すでに裏切られたユーザーたちは、冷ややかな視線を向け始めている。開発者にとってもユーザーにとっても、今後KickstarterやSteamによる早期アクセスをどう利用していくか、模索する時が来ているようだ。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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