人気パブリッシャーHumble Games、会社閉鎖が報告されるも否定。しかしインディーゲームビジネスのコスト上昇が厳しいとし事業再編認める

Humble Gamesは7月24日、事業再編の実施を決定したとし、それに伴い従業員のレイオフ(一時解雇)をおこなったことを明らかにした。

パブリッシャーのHumble Gamesは7月24日、事業再編の実施を決定したとし、それに伴い従業員のレイオフ(一時解雇)をおこなったことを明らかにした。その事業再編は、取り扱いタイトルの開発者および進行中のプロジェクトを安定してサポートすることが目的とのこと。

この声明は、レイオフ対象となった元従業員らの報告がSNSで広く拡散されたことを受けて出された模様。一部元従業員はHumble Gamesの閉鎖についても言及し、波紋が広がっていた。


Humble Gamesは、PCゲームストアを運営しバンドル販売やチャリティ活動で知られるHumble Bundleが設立した、アメリカに拠点を置くパブリッシャーだ。現在は大手メディア企業Ziff Davisの傘下にあり、Humble GamesとHumble Bundleはそれぞれ独立して運営されている。

事業としてはインディーゲームの販売を中心に手がけており、これまでには『Slay the Spire』や『A Hat In Time』『One Step From Eden』『Unpacking アンパッキング』『Prodeus』『SIGNALIS』『ミネコのナイトマーケット』『Coral Island』などをリリース。また、ちょうど先週には『ボウと月夜の碧い花』を発売したばかりだ。取り扱いタイトルの多くが高い評価を得ており、同社は一定のブランドを築いている。

そのHumble Gamesについて本日7月24日、解雇されたとの報告が元従業員らから相次いだ。シニアQAを務めていたEmilee Kieffer氏は、自身を含めチーム全員がレイオフされたと報告(上のXポスト参照)。プロデューサーのKenny Schwarz氏も、Humble Gamesのほかのほとんどの従業員と同じく、自身がレイオフ対象となったことを明らかにしている。

また、事業開発を担当していたNicola Kwan氏も自身の解雇について報告。同氏はさらに、Humble Gamesの全従業員36名にレイオフが告げられ、会社は今後閉鎖される予定である(the company is shutting down)と聞かされたと述べている。

海外メディアAftermathは元従業員らに取材するなかで、Humble Gamesの社内ミーティングの録音を入手したとして報道。それによると、親会社Ziff Davisの技術・販売部門プレジデントSteve Horowitz氏は、ここ数か月Humble Gamesでは100万ドル単位のコスト上昇や発売延期の長期化がみられ、費用対効果を高めることを目的に事業再編を決断したと、従業員らに対し告げたという。そして、レイオフの影響は全職種に及び、今後の運営については外部企業の助けを借りる方針を示したそうだ。

元従業員によるレイオフの報告はSNS上で拡散し、海外メディアも報道。先述したようにHumble Gamesは数多くの人気タイトルを販売しており、また今後発売予定として発表済みの作品もある。海外ゲーマーらの間では、レイオフ実施に疑問を示したり、取り扱いタイトルの今後について不安視したりと波紋が広がった。


その後間もなくして、Humble Gamesは声明を発表した。同社は、インディーゲーム販売において現在厳しい経済状況にあるとしたうえで、取り扱いタイトルの開発者および進行中のプロジェクトを安定してサポートするため、事業再編を決断したと報告。そして、この影響を受ける同社の元チームメンバーの支援についても言及し、遠回しながら従業員のレイオフを実施したことを認めた。ちなみに同社は、昨年11月にもレイオフを実施している。

また、この事業再編は、Humble Bundleの事業には影響しないことが明確にされている。Humble GamesはZiff Davisの傘下にあり、Humble BundleはZiff Davisが保有するメディアグループIGN Entertainmentの傘下にある。やや複雑な関係であり、一部ではHumble Bundleの事業についても不安視する見方が広がっていたが、運営母体が異なり影響はないとのこと。


今回、Humble Gamesでは幅広い職種の従業員が解雇され、一部では同社の閉鎖予定についても報告された。ただHumble Gamesの声明によると、今後も運営を続け、開発パートナーのサポートをおこなっていくとのこと。販売中のタイトルが、突然配信停止になるようなことは当面ないものと受け取れる。また同社の今後発売予定のタイトルとしては、『Wizard of Legend 2』や『Lost Skies』『Monaco 2』『Never Alone 2』などが発表済み。それらが無事リリースされるのか注目されそうだ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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