あるホラーゲーム開発者、日本語翻訳が“災害級に酷かった“として緊急アプデ。異常探しゲームの、日本語文がすでにおかしい

個人ゲーム開発スタジオである纤指游戏は1月28日、ホラー探索アドベンチャー『電車除霊少女』のアップデートを配信し、日本語のテキストを大幅に修正したことを発表した。

個人開発スタジオである纤指游戏は1月28日、ホラー探索アドベンチャー『電車除霊少女』のアップデートを配信し、日本語のテキストを大幅に修正したことを発表した。本作の対応プラットフォームはPC(Steam)。

本作は、1月25日にSteamに向けて配信されたホラーアドベンチャーゲームだ。『8番出口』にインスパイアされて開発されたという。プレイヤーは除霊アルバイトを行う女子高生となり、電車内の異常を発見、排除しながらゴールを目指す。異常や怪異の出現はランダム性を伴っているため、いつどのような順序で何が登場するかはわからない。また、怪異を祓う方法もその都度見つけなければならない。


本作のSteamユーザーレビュー評価は、本稿執筆時点で24件中79%が好評とする「やや好評」ステータス。日本語レビューでは翻訳品質の低さを指摘する意見が複数見られる。こういった声に応えるべく1月28日に配信されたというバージョン1.5では、日本語テキストの重要部分を大幅に改善したと報告されている。

開発元によると、1人ですべての翻訳作業を行うために機械翻訳に頼った結果、“ひどい翻訳品質”になってしまったという。当初開発元は機械翻訳を採用した点について、「多少奇妙でも理解できると思い、ゲームのプレイに過度に影響を与えることはない」と考えていたとのこと。しかし、翻訳について指摘するレビューでの反応が複数あったことで、DeepSeekとChatGPTを用いてリリースバージョンの日本語テキストを中国語に再翻訳して確認。その結果「災害級」であったことを認識したそうだ。文章の意味が逆になっていたり、キャラクターの呼び方もめちゃくちゃなケースを多数発見したとのこと。

敬語を用いていたキャラが唐突に「来て~」と発言するシーン
テキストが枠をはみ出しているケース


開発元は、「このような翻訳に耐えながらもゲームをクリアしてくれた日本のプレイヤーに非常に感謝」し、また同時に申し訳なくも思っているという。一文一文を再翻訳して誤りを発見・修正する校正作業を行ったそうだ。作業に際しては、ChatGPTに月額課金し、さらに利用限度額を使い果たすなどの困難を乗り越えたとのこと。そのため、文意が完全に逆になっているケースなど、実際のプレイに影響を及ぼすセリフのほとんどは修正が完了したそうだ。些細な部分には翻訳ミスがあるかもしれないものの、最新バージョンでは重要な部分は自然な翻訳結果になっているはずと語っている。


近年では、機械翻訳とみられるローカライズのインディーゲームもしばしば見られる。小規模開発作品で苦肉のローカライズ手段として活用される場合もあるのだろう。とはいえ機械翻訳を通した日本語は不自然になりがちだ。誤訳からゲームプレイに支障をきたしたり、作品への没入感を削いだりする要因にもなるだろう。また機械翻訳のゲームも増えるなかでは、Steamストアページの対応言語表記でローカライズ品質を判断しづらい状況もある。

今回の『電車除霊少女』は機械翻訳に頼ってリリースされたものの、フィードバックを受けて、少なくともゲームプレイに関わる部分の翻訳については修正が報告されたかたちだ。機械翻訳だけでローカライズに挑戦する難しさも垣間見える事例だろう。開発元は今後は英語と韓国語のテキストについても、重要な部分の校正を行う予定とのこと。

『電車除霊少女』はPC(Steam)向けに配信中。

Kei Aiuchi
Kei Aiuchi

RPG、パズル、謎解きアドベンチャー、放置系などを遊びます。比較的やりこみ型。特に好きなゲームは『ルーマニア#203』

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