『Heroes of the Storm』デザイナーが語る新キャラクターの立ち回り方、追加マップは「プレイヤーを殺しにかかる」


先日の「gamescom 2015」で新たなヒーローとマップが披露されたBlizzard EntertainmentのオールスターMOBA(Multiplayer Online Battle Arena)タイトル『Heroes of the Storm』。本作のデザイナーを務めるKent-Erik Hagman氏が、海外メディアVentureBeatのインタビューに答え、今後追加されるキャラクターやマップへ秘めた熱い想いを、プレイヤーに向けたワンポイントアドバイスを交えて語っている。

 

『Diablo』勢初のサポートヒーロー「Kharazim」

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Diabloヒーローにはこれまでサポートキャラクターが一人もいなかったが、今回初めて戦うヒーラーとしてモンク「Kharazim」が登場した。今週の最新パッチでいよいよ追加された。「Diabloヒーローにもサポートキャラが必要とされていることは分かっていた。モンクは『Diablo III』で私が最初にレベル60まで育てたキャラなんだ。開発チームには他にも同じやつが数人いるよ。だから登場させたくてワクワクしていたんだ」。

それと同時に、単なるサポート能力を持った「Illidan」や「Chen」のようなキャラクターにはしたくなかったとのこと。「彼は『Diablo III』に大いにインスパイアされているね。サポートキャラにするといってもできる限り原作に近づけたかったんだ。TyrandeやTassadarのようにダメージソースとしてカスタマイズできる一方で、ソロでもチームを支えられるメインヒーラーにも仕上げたかった」。「Kharazim」はチームの構成やマップに合わせてビルドを変えるユーティリティキャラとして浸透しそうだ。

Hagman氏によると、「Kharazim」を上手く操るコツは彼自身の動きを完全に支配することだという。「彼の回復スキルは自分に隣接している周囲に効果を及ぼす。位置取りが全てという点ではLi Liに似ている。Li Liの場合は回復対象の近くをキープしつつも後方に下がって身の安全を確保していればいい。一方で、Kharazimはせわしなく動く必要がある」。「Li Li」が付きっきりで介抱するヒーラーだとしたら、「Kharazim」は点と点を結ぶようにフィールドを駆けまわるタイプ。どちらかと言えば、「Brightwing」のような立ち位置なのかもしれない。

「味方と敵の位置を常に把握しながら、戦場全体を踊り回るんだ」という同氏の言葉どおり、「Kharazim」のアビリティ「Radiant Dash」は、味方もしくは敵の元へ即座に移動して攻撃や回復、視界確保に繋げられるというもの。ヒーラーとしてだけではなくDPSにも貢献できるとなれば、状況把握と正確なプレイングが求められる上級者向けのキャラクターといえるだろう。

「彼が自分に合ったキャラかどうか分かるまでたっぷりプレイしてほしい。慣れるまで結構な時間を要するだろう。これまで見慣れたスコアをすぐには出せないという理由で、ヒーラーとして使えないと安易に決めつけてしまうかもしれない。しかし、それはプレイヤーの腕次第だ。ソロでも十分ヒーラーになり得るし、彼はその役割を見事なまでにこなしてくれるだろう。単に他のヒーラーとは違う考え方が必要というだけだ」

また、3つの内2つが回復に特化したTrait(習得しているだけで効果を発揮するパッシブスキル)の重要性にも言及している。「Transcendence」は3回目の攻撃毎に近くにいる最も残りライフの少ない味方を回復する。一方で、「Insight」は3回目の攻撃毎に自身のマナを回復する。「適切に運用するにはそれぞれのTraitで10回はプレイした方がいい。マナ回復を選ばないのならマナ管理に特別気を使ったほうがいいし、ポジショニングにはなおさら気を使いたいね」

 

タンクキャラ初のレンジヒーロー「Rexxar」

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「Rexxar」は当初、本作が正式にローンチされる以前の3月もしくは4月の登場を予定していたという。「彼とKael’thasは、本当はHordeバンドルの一貫として一緒に解禁するはずだったんだ。しかし、スケジュールが狂ってしまった。Eternal Conflictイベントも相まって、結果Rexxarは後回しになってしまったんだ」。カードゲーム『Hearthstone: Heroes of Warcraft』にも登場するハンター「Rexxar」は、『Warcraft 3』のチームが手がけ、常に愛されてきたキャラクターだという。「うちのアーティストが常に作りたがっていたヒーローの一人で、モデルはすでに用意してあったんだ」

「Rexxar」のプレイを語る上で外せないのがペットの熊「Misha」だ。「レンジウォーリアーという概念はずっとやりたいと思っていた。彼がタンクの役割を果たせるのは彼自身の能力ではなくて、いつも一緒にいるペットのおかげだ。そういう意味で全く異なるキャラクターといえる。しかし、しっかり差別化は図りたかった。二人組のLost Vikingsみたいに感じてほしくなかったからね。クマさんは『World of Warcraft』でいうハンターのペットのような役割を果たす」

「彼女(クマさんのこと)こそプレイヤーに必要な全てだ。戦闘で死んでしまった時は数秒後に蘇る。所要時間はゲームの進行に依存する。序盤は即座に帰ってくるが、終盤ともなると復活に20秒から25秒かかるだろう。その間はMishaに依存するWキーとEキーのアビリティーは使えなくなる。一つはMishaを使ったスタン攻撃で、もう一方はMishaを回復する能力だ。Mishaなしでは半人前のヒーロといえるだろうね」

「Rexxar」本体がやられるとMishaも行動不能に陥るため、如何にして彼女にヘイトを集めてタゲを取らせるかが重要なようだ。「相手はMishaを攻撃したくはないが、プレイヤーはそうさせるように彼女を仕向ける。敵のチームを翻弄しながら常に凧揚げをしているようなものだね。相手は常にイライラするはずだ。馬鹿なクマさんのせいで放ったスキルが全部無駄になっちゃうってね」

 

『StarCraft』界初のウォーリアヒーロー「Artanis」

『StarCraft』ヒーローとしては初のウォーリアキャラクターとなる「Artanis」は、2015年内の発売を予定している『StarCraft II: Legacy of the Void』の予約購入特典でもある。同作と深い関連性があるため、現段階では明かせない情報も多いという。現段階で判明していることは、大きなダメージソースとして活躍する「Sonya」に近い立ち位置だということ。また、CC(Crowd Control=スタンやスロウ効果で敵の行動を妨害すること)キャラクターではないことも明かしている。

「Artanisは最高のヒーローさ。作ってよかったよ。めっちゃイカしてると思うね。ハイテンプラーとダークテンプラーならTassadarとZeratulといういいキャラがすでにいる。二刀流のサイニックブレードで前線に出る重戦士、Zealotに手を出したかったんだよ。それから…… おっとこれ以上は話すとChe’von(広報担当責任者)がナイフを取り出して私の喉を切り裂いちゃうかもな」

「彼は敵の中に入っては全員にちょっかいを出して荒らしまわるBruiserといったところかな。突っ込んでいって敵を閉じ込めるE.T.C.とはちょっと違うかな」。Hagman氏によると、2つの光る巨大な武器が「Artanis」を使った戦略の鍵を握るとのことで、敵のど真ん中に突進して暴れまわった際にその真価を発揮するという。しかし、サイニックブレードを使った彼の攻撃にどのような効果があるのかや、Gankの際に具体的にどう厄介な存在になるのかに関しては言葉を濁している。

「彼をすぐに始末しなければいけないというわけではない。しかし、そうしなければ20秒後には3人の死人が出るだろうね。遅かれ早かれ対処しなければならない。彼のせいでターゲットの優先順位をつけるのが難しくなるはずだ。柔らかいNovaやJaina、Kael’thasを真っ先に片付けたいだろうし、そうしなければこっちが5秒で殺されてしまう。しかし、いずれはArtanisに対処する必要があるのさ」。何はともあれ、タフだからといって「Chen」のように放置プレイできるようなウォーリアではないようだ。

 

スペースナイチンゲール、名無しのメディックさん

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『StarCraft』ユニバースからのサポートヒーローということ以外、名前もアビリティーも明かされていない女性メディック。もともとは初代『StarCraft』に汎用ユニットとして登場したキャラクターだ。「gamescom 2015」で明かされたスキルの一つ、「Medivac」は味方のヒーローを安全地帯まで空輸するというもの。『StarCraft II』からメディックの代わりに登場した汎用ユニットの名前でもある。

「彼女はレンジサポートで、単体の味方に対してとても強力なヒール能力を持っているんだ。複数人の同時回復に特化したMalfurionとは似ても似つかない。Li LiやKharazimはもちろん、Chain Healを持つRehgarとも異なるね。彼女はとにかく単体の回復に特化していて、CCをはじめ多用途な部分でチームにサポートを提供するキャラクターだ」。味方を付きっきりで介抱するナイチンゲールとしてだけではなく、戦局を大きく変えかねない存在になるかもしれない。

また、彼女は最もプレイヤーのスキルに依存したヒーラーの一人とのこと。「彼女を初めて使うプレイヤーがいればひと目で分かる。“あれ、ヒーラーなんていた? バランス悪すぎだろ。調整しろよ”って感じにね。しかし、一度使いこなせれば、その反応は“オーマイガーッ! メディック強すぎ! バランス悪すぎだろ”に変わる。クールだろ。メディックを使うならめちゃ上手くなくっちゃ。彼女の中にこそ君は光るのさ」。プレイヤーの運用次第でゴミにも神にもなりそうだ。

 

プレイヤー殺しの新マップ「Infernal Shrines」

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「Battlefield of Eternity」に続く、『Diablo』の世界観をテーマにした新マップ第2弾。3レーンを有しており、1つ目よりもさらに広大だ。「プレイヤーを殺しにかかる初のマップとなるだろう」とのことで、Shrineの存在が戦術に新たな可能性を生み出している。起動して30体のガーディアンを倒した際に召喚される3種類のPunisherが、戦局を大きく左右する。「Arcane」は回転レーザーを散布してヒーローやミニオンの進行を妨害、「Mortar」は迫撃砲の名のとおり範囲爆撃で大きなダメージ値を計上、そして「Frozen」はヒーローを凍りづけにする強力なCCとして機能する。

「Diabloをプレイしている気分になるだろうね。ヒーローを操作しているところに突然神秘のレーザーがそこら中に飛んできて、“なんじゃこりゃあああ”って感じ。そしたら氷漬けのやつがそこかしこにあって、まじイカすぜ」

Punisherはヒーローを率先して攻撃するほか、広範囲にスタン効果を及ぼすジャンプ攻撃も厄介だ。放置すれば壊滅的な被害を被ることになりかねない。「プレイヤーを殺すメカニックの集合体だ。だけどPunisherたちには大したSiegeダメージはないことも忘れてはならない。彼らだけではラインはそれほど上げられない。チームが後に続いて一緒に攻めることが肝心だね。このマップでは自然と攻守の繰り返しになるだろう。僅差のゲームが楽しめるマップだ」

また、Hagman氏は上級ユーザーがこのマップにどんな反応を見せるのかが気になるようで、「プロチームがこのマップをプレイする様を見るのが待ち遠しいよ。もがき苦しんで死にゆく様をね。彼らが“あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛”って死ぬたびに笑うんだ。“上手なんじゃなかったのかい?”ってね!」と、興奮を隠せない様子。「BlizzCon 2015」のワールドチャンピオンシップに向けた前哨戦でプロリーグデビューする日も近いだろう。

Blizzardブランドのシリーズ作品から歴代のヒーローたちが続々集結する『Heroes of the Storm』。毎月新たなヒーローが登場しているほか、2か月に一度のペースで新マップを含んだ大型拡張が施されている。ユニークなスキンの数々も話題に事欠かない。e-Sports競技の一つとしても数々のプロシーンでますます脚光を浴びるオールスターバトルの、さらなる盛況ぶりに華やぐ気持ちのドキドキは止まらない。