オープンワールドクライムアクション『Grand Theft Auto V』にシングルプレイヤー用ダウンロードコンテンツが登場するのではないかという噂が流布している。主人公の担当声優がSNSに新コンテンツの制作を示唆する写真を投稿したというもので、2013年の発売以降追加ストーリーを待ち望んできたファンの間で物議をかもしている。また、本作のプロデューサーを務めたLeslie Benzies氏が、開発元Rockstar Northを退社していたことも明らかになった。同氏は2014年9月から長期休暇に入っていたが、その後スタジオに復帰することはなかった。
未発表DLCの行方
『Grand Theft Auto V』は、PlayStation 3/Xbox 360向けに2013年9月、PlayStation 4/Xbox One向けに2014年11月、Windows向けには2015年4月に、Rockstar Gamesから発売されたアクションアドベンチャーゲーム。オープンワールドで描かれる広大なマップとシリーズ屈指の自由なゲーム性が高く評価され、“24時間で最も売れたビデオゲーム”を含む計7つのギネス世界記録を樹立した。前作『Grand Theft Auto IV』では、シングルプレイヤー用に2つのダウンロードコンテンツがリリースされたが、今作においては発売から2年以上が経過した現在もいまだ発表されていない。
なお、Rockstar Gamesは2014年4月のアップデートで、追加ストーリーのローンチを予定していることに言及していたが、2015年に入っても何の音沙汰もなかったことからファンの疑問がくすぶった。昨年5月、海外メディアGameSpotが販売元Take-Two Interactiveの最高経営責任者Strauss Zelnick氏に真相を迫った際には、Rockstar Gamesはストーリーの拡張を模索しているに過ぎず、確定した情報ではないという旨が伝えられた。その後、マルチプレイモード「Grand Theft Auto Online」の全面的なサポートに開発チームの総力を結集しているとして、ダウンロードコンテンツの実現に至っていない経緯が明らかになった。
昨年9月にIGNが行ったインタビューで、開発元Rockstar NorthのデザインディレクターImran Sarwar氏は次のように説明している。「現在は予想をはるかに上回ったGTA Onlineに注力しています。GTA Vのローンチに携わったチームの主要メンバーは全員、GTA Onlineのサポートに全力で対応するよう指示しているところです。我々が発展させてきたコミュニティーは大規模で日々成長しており、実現できていないアイデアは絶えません。新世代プラットフォームにおけるGTA Onlineの進化は心躍る可能性といえるでしょう。新たなシステムが織りなすパワーのおかげで、さらに多くを実現できるのですから」。
そんな中、本作で主人公の一人「Franklin “Frankie” Clinton」の声優とモーションキャプチャーを担当するアメリカの俳優、Shawn Fonteno氏(通称、Solo)が、開発スタジオと思われる場所でモーションキャプチャースーツを着用している写真を、自身のInstagramに投稿した。その目的は一切言及されていないが、キャンペーンモードの追加シナリオを長く待ち望んできたファンの間ではダウンロードコンテンツの到来であるとの期待が高まっている。
また、Eurogamerによると、Fonteno氏は2014年にもダウンロードコンテンツの制作に携わったと発言しており、その際『Grand Theft Auto V』におけるDLC計画を“デカいヤマ”と表現していた。もしかしたらストーリーの拡張には以前から着手していたが、新世代機とPC版のリリースに伴い期待を凌駕したオンラインモードへの対応に追われ、計画は一時凍結されていたのかもしれない。
歴代プロデューサーの行方
スコットランドのエディンバラに拠点を構える開発スタジオRockstar Northで、15年にわたり看板タイトルの制作に携わってきたゲームプロデューサー、Leslie Benzies氏が同社を去った。業界メディアKotakuによると、Benzies氏の退職は1年以上前から囁かれていたとのことで、Rockstar Northは過去の取材で長期休暇に入っていると説明していた。今回、同氏が職場に復帰したかどうかを尋ねたところ、すでにスタジオを退社していたことが明らかになったという。
Rockstar Northは、Kotakuの問い合わせに対して次のように回答している。「Leslie Benziesは2014年9月1日から長期休暇に入っていましたが、職場への復帰はしないとの確認が取れました。15年にわたり共に素晴らしいゲームの開発に携わってきたLeslieの献身に心から感謝しています。Leslieのおかげでかけがえのないチームが結成でき、ファンへ向けた素敵なゲーム体験を次々と生み出すことができました。Leslieは常に我々の友であり続けるでしょうし、彼がいなくなって寂しくなることは間違いありません。彼の前途に多幸を祈ります」。
Leslie Benzies氏は、Rockstar Northが旧社名であるDMA Designの頃からゲームプログラマーとして活躍してきたベテランクリエイターだ。その後、2001年の『Grand Theft Auto III』にはじまり、『Grand Theft Auto V』を含む歴代シリーズでプロデューサーを務めているほか、『Manhunt 2』『Red Dead Redemption』『L.A. Noire』など、著名タイトルの開発に数多く携わった。また、「DICE Awards 2014」では、Rockstar Gamesの創設者Dan Houser氏とSam Houser氏に並んで、AIAS(Academy of Interactive Arts and Sciences)における賞の一つ「Hall of Fame」の栄冠に輝いた。リーダーとしてスタジオを牽引してきたBenzies氏なき今、Rockstar Northはこれまでアートディレクターとして活躍してきたAaron Garbut氏とRob Nelson氏が率いている。