『Ghostbusters』の開発スタジオであるFireforge Gamesが、連邦倒産法第7章にのっとり破産手続きをおこなっていることをKotakuが報じた。『Ghostbusters』は映画公開にあわせ人気フランチャイズのリブートを目指したタイトルで、7月12日に発売されたばかり。前作の『Ghostbusters: The Videogame』とはうってかわり、パブリッシャーはAtariからActivisionに、開発スタジオもTerminal RealityからFireforge Gamesに変更された。ゲームジャンルもサードパーソンシューティングから見下ろし型のシューティングへと転身するなど、大きな差別化がはかられている。しかし、生まれ変わったタイトルの評価はあまりかんばしくない。Steamレビューではグラフィックや操作感などは一定の評価を得ているものの、敵や景観が変化しないといった単調さがやり玉にあげられ、複数のユーザーに「50ドルの価値はない」と評されていた。
そして、先行きが不安なリリースの裏で、さらに大変なことが起こっていたようだ。というのは、『Ghostbusters』の発売3日後の7月15日に、開発元のFireforge Gamesが破産の申し立てをしていたからだ。抱えている負債は約1200万ドルと報告されており、今回の申請は精算をはかるものとなる。
Fireforge Gamesは、Blizzardに在籍していたTim Campbell氏が中心となり2011年にカルフォルニアに設立されたスタジオで、5年間にわたってふたつのタイトルに注力してきた。ひとつめは、Fireforge Gamesの株式を37%保有している中国のTencentの下でコードネーム「Atlas」という名の作品。ふたつめは、ハードウェアでおなじみのRazerの下で「Zeus」と呼ばれるコードネームで開発されてきたものだ。これらはふたつともMOBA系のタイトルであり、ふたつとも開発中止を余儀なくされている。
その結果、Fireforge Gamesは、資金提供を受けた両社ともトラブルを抱えている。「Atlas」の開発中止により、Fireforge GamesはTencentに対し1130万ドルの負債を抱えている。そして、RazorのCEOであるMin-Liang Tan氏は、同社が提供した資金を彼らが「Atals」の開発に使ってしまったせいで「Zeus」は失敗に終わったと主張し、訴訟を起こしている。この言い分に対し、Fireforge Gamesは「Atlus」の開発が並行して始まった途端Razorからの資金の提供が止まってしまったと真っ向から反論している。
Fireforge Gamesが抱えるトラブルはこれだけではない。彼らは2015年にはRichard Land氏からも訴訟を受けている。氏は、2013年に倒産してしまった『Kingdoms of Amalur: Reckoning』を手がけた38 Studiosの売却を担当した弁護士だ。氏の主張によると、Fireforge Games は、38 Studiosのコンテンツが売りだされた際に、ソーシャルメディアプラットフォームの「Helios」と呼ばれるサービスを370万ドルで購入していたものの代金を支払わず、かわりに38 StudiosのHeliosに携わっていた社員を雇うことで同様のコンテンツを開発していたとのこと。
リリースしたゲームは批判を受け、その直後に破産申請をおこない、申請した書類をきっかけにさまざまな訴訟トラブルが世に出てしまうという不幸の連鎖から抜け出せないFireforge Games。Kotakuが入手した書類の中には、今回の『Ghostbusters』は8か月という短期間で開発されたという情報も含まれているようで、ユーザーからはゲームの完成度に結びつけて批判する声も生まれてきている。Fireforge Gamesに汚名返上の機会はもうやってこないのだろうか。