『原神』運営元、米国にて法律違反が指摘され罰金約30億円支払いへ。子供のユーザーのガチャ利用に関して
米国FTC(Federal Trade Commission・連邦取引委員会)は1月18日、オープンワールドアクションRPG『原神』の運営元HoYoverseを擁するCOGNOSPHEREが、2000万ドル(約31億円)の罰金の支払いに同意したと発表した。同作のルートボックス(ガチャ)要素において、法律違反が確認されたためとのこと。
またCOGNOSPHEREは、『原神』における少額課金機能について、16歳未満の子供が保護者の同意なしに利用することができないよう、措置を講じることについても同意したという。
今回の発表にてFTCは、『原神』では10代の若者やその他のプレイヤーを騙して、いわゆるガチャに何百、何千ドルも費やさせたと指摘。特に、プレイヤーから人気の高い星5のキャラクターの入手に関して、ガチャにおける当選確率(排出率)や、ガチャを回すためにかかる費用についてプレイヤーを欺いたとした。
上述の当選確率については、子供に人気のインフルエンサーや、SNS・動画配信サイト、ゲーム内バナーなどを使ったキャンペーンを通じ、星5のキャラクターが当たる確率が実際よりも高い印象を受けるよう宣伝していたとFTCは主張。一方の費用に関しては、ガチャを回すにあたっておこなうゲーム内通貨の交換作業により、実際に費やす金額について消費者を誤解させているとした。
本作には、「祈願」と呼ばれるガチャ要素が存在し、ゲーム内通貨にあたる「原石」を消費して、キャラクターや装備を引き当てることができる。原石は、ゲームプレイを通じて入手できるほか、少額課金で購入できる「創世結晶」と交換して手に入れることも可能となっている。
FTCは、こうした子供に向けたガチャ関連の積極的なマーケティング行為は、COPPA(Children’s Online Privacy Protection Act・児童オンラインプライバシー保護法)に違反していると指摘。さらに『原神』では、個人情報の収集に関してもCOPPA違反があったとのこと。同法では、13歳未満の児童を対象としたオンラインサービスにおいては、個人情報の収集時、また収集した個人情報の利用時に保護者の同意を得る必要があるとされている。FTCは、開発元は13歳未満の児童が本作をプレイしていることを知りながら、そうした法律上の義務を怠っていたとした。
そしてFTCは、罰金2000万ドル(約31億円)の支払いや、16歳未満の子供が保護者の同意なしに少額課金機能を利用できないようにすることなどについて、COGNOSPHEREと合意したと発表。今後、連邦裁判所の判事の承認を得たうえで命令が発効されるとした。
なお『原神』では、13歳未満の児童がアカウントを作成することは、プライバシーポリシーにて認められていない。それでも先述したような法律違反が指摘されたということは、実態に即した対応を求められたということかもしれない。また、本件はあくまで米国の法律に基づいて両者が合意したという話であり、日本を含む他国での対応については現時点で不明である。