熱狂的ファンがゲーム開発スタジオに忍び込み未発表の新作をリークする、『Warframe』Digital Extremesが被害に

熱狂的ファンがスタジオに忍び込み、なに食わぬ顔で開発スタッフと極秘情報について話し、ランチもたいらげたという話は今回が初めてだろう。カナダの開発スタジオDigital Extremesにて、そんな不法侵入事件が発生したことが明らかにされている。

ビデオゲーム開発は常に情報リークと隣り合わせだ。元開発者や関係者筋、あるいは店舗に配布した広告物などから情報が漏れてしまい、正式発表前にゲームの存在が明るみにでてしまう事例は少なくない。だが熱狂的ファンがスタジオに忍び込み、なに食わぬ顔で開発スタッフと極秘情報について話し、ランチもたいらげたという話は今回が初めてだろう。カナダの開発スタジオDigital Extremesにて、そんな不法侵入事件が発生したことが明らかにされている。海外メディアKotakuなどが伝えている。

窓から配信に使った部屋が見えた

Digital Extremesは、カナダのオンタリオ州ロンドンに拠点を構えるゲーム開発スタジオだ。代表作は2008年にリリースされた3Dアクションゲーム『Dark Sector』。近年ではSF忍者をテーマにしたF2Pタイトル『Warframe』の開発と運営を担当しており、ロングヒットを飛ばしている。

ことの発端は、海外フォーラムRedditの『Warframe』セクションに、ひとりのユーザーが“1日ほどDigital Extremesに行ってきた”とのスレッドを立てたことから始まる。このユーザーはDigital Extremesの追っかけを長年にわたり続けていた。そして彼らのスタジオがどこにあるのかを常に気にかけていたようだ。

「僕はDigital Extremesを長いあいだ追っかけてきた。彼らがカナダのオンタリオ州ロンドンに居ることは知ってたけど、スタジオがどこにあるのかは知らなかったんだ。何年間も彼らは僕らから身を隠していて、所在地について説明したことはなかった。僕は彼らを見つけたんだ」

このユーザーはどのようにしてスタジオの所在地を発見したのだろうか。Digital Extremesは、スタジオ内部から開発スタッフによるライブ配信を定期的に実施している。その際に使用された部屋の構造とデザインをユーザーは覚えていたそうだ。スタジオの所在地を探っていた彼は、ある街角のビルの窓から見えた部屋が“配信で使われた場所”であることを確認し、さらに『Warframe』のキャラクターである「Tenno」のスタチューの姿も発見した。

無料でランチ、開発スタッフと極秘情報を話す

このユーザーは狡猾にことを進めてゆく。ユーザーは指紋が残らないよう、タトゥーの入った男性スタッフが扉を開けた後に続いて、スタジオ内部に侵入した。この男性スタッフはおろか、誰も彼に対して声をかけることはなかったという。それどころか、彼は昼食の列に並んでランチを取り、さらにほかの開発スタッフとおしゃべりすらした。そしてその会話のなかで、彼はまだ未発表のプロジェクトについての情報を聞くことになる。

「僕がここで働いているのかなんて誰も聞いてこなかった、チェアに座って、ときおりあたりを移動したりしてたよ。12:01になると、ランチのお姉さんが昼食の準備ができたと言って、そして僕は列に並んだ。大量のプレートが積み重ねられていて、ビュッフェスタイルでフードを取ることができた。そこら辺に座って無料のランチを楽しみ、何人かと話したよ。彼らは現在開発中の新作について話していた」

この後、ユーザーはさらにPS4やXbox Oneが大量に並べられたQAルームに忍び込むなどしたが、セキュリティとは一度も出会わず、またスタッフたちも自分のことに関して聞いてこなかったと説明している。午後6時ごろになると、彼は帰宅するスタッフたちに紛れてスタジオを出た。ひとりの男性が「また明日」とユーザーに対して伝え、彼もそれに同意した。

「Digital Extremesにはクソみたいなセキュリティとうまい飯がある。新作に関する情報もね」。ユーザーは最後にそうコメントしている。確かにDigital Extremesのセキュリティは甘かったかもしれないが、彼の不法侵入は許されぬ犯罪行為である。

Digital ExtremesのコミュニティマネージャーRebecca Ford氏は、「カナダ人は誰にでも優しくて礼儀ただしいですからね!」と、今回のファンの不法侵入事件に関してコメントを出している。新作が実在するかについては触れなかったものの、スタジオには素晴らしいゲームを届けようと尽力している200人以上のスタッフがおり、彼らのプライベートを尊重して欲しいと続けている。「我々はTennoを愛しています、ただ敬意を持って法を尊重してください。不法侵入がOKであるはずはありません」と締めくくった。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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