MMO『EVE Online』で起きた宇宙大戦争を「小説」で記すプロジェクトが始動、プロの小説家が手掛ける”ノンフィクションのゲーム内歴史小説”に


海外にて、SF-MMO『EVE Online』に起きた大戦争「Fountain War」を小説化するためのプロジェクトがスタートした。現在はKickstarterにて15万ドル以上の獲得を目指すクラウドファンディングを実施しており、すでに369人から2万1266ドルの支援が寄せられている。『EVE Online』は数千人が参加する大規模な宇宙戦争が定期的に起きることで知られるが、それを”ノンフィクション歴史小説”として記す試みは初めてだ。

ゲーム内で勃発した戦争、歴史小説に

『EVE Online』は、アイスランドのゲーム開発スタジオCCP Gamesが運営している壮大なSF-MMOロールプレイングゲームだ。広大な宇宙を舞台にプレイヤーは1市民となって宇宙船を駆り、生産したパーツや採掘した資源を売却したり、あるいは様々な種類の宇宙船を建造したりする。プレイヤーたちはギルドに当たる「会社(Crop)」を設立可能で、さらに複数の会社が互いの利益を守るため「同盟(アライアンス)」を組むこともある。そしてこの同盟同士が互いの利権や領有権で緊張状態になると、時に「Star Wars」も真っ青な大規模戦争が勃発する。

2013年夏に勃発した「Fountain War」は、『EVE Online』で起きた同盟同士の戦いのなかでも、もっとも大規模なものの1つだ。最大の勢力を誇る「CFC」同盟は、第2勢力である「TEST」同盟の領域”Fountain”へと、当時2か月間にわたり侵攻を続けいていた。「TEST」が頑なに侵入を拒んだ結果、2013年の7月28日の夜にFountainの戦火は一気に拡大。4000人以上のプレイヤーが参加、5時間以上にわたって戦闘が続けられ、最終的に2900以上の艦が宇宙のちりと化した。この「Fountain War」と名付けられた戦いで「CFC」側は勝利を収め、「TEST」はFountainから退くこととなる。

ほかのMMOタイトルと同様かそれ以上に、『EVE Online』は成功するために多くの時間と金が必要になる作品だ。たとえばよく伝えられる例として、ゲーム内最大の戦艦「タイタン級」を建造するにはおよそ3000ドル(約36万円)と数週間にわたる期間が必要とされ、その後も艦の維持や運用を考えればまず個人で所有することは不可能な代物となっている。『EVE Online』で起きる戦争は、現実世界のリソースを多分に消費するのであり、それだけ同盟同士の戦いや描かれるドラマはどれもリアルなのだ。

今回の小説化プロジェクトには、『EVE Online』開発のCCP Gamesとミリタリー作品で知られる小説家Jeff Edwards氏が参加。小説「Fountain War」はコミュニティから寄せられた情報を取り込みつつ、全3章から5章に分けたシリーズとして記され、年数回に分けてリリースされる見込みだという。ゲーム内とはいえ”実際に起きた
銀河の歴史”を記す小説プロジェクトということで、今までのSF作品や歴史小説にはない内容が期待できそうだ。