『エンダーリリーズ』『エンダーマグノリア』ヒットの理由は「エモさとゲームのバランス」にありか。ストーリーとシステム両方ちょうどいいメトロイドヴァニアは意外とない

弊誌AUTOMATONでは、『ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist』(以下、エンダーマグノリア)開発者にインタビューを実施。開発者に本作の評価および人気が高い理由を訊いたところ、メトロイドヴァニアとしてエモさとゲームの両立しようとしたことをあげている。
『エンダーマグノリア』は、暴走する人工生命体「ホムンクルス」によって滅びゆく終末世界を舞台とする探索型アクションRPGだ。いわゆるメトロイドヴァニアである。『ENDER LILIES』(以下、エンダーリリーズ)の続編にあたり、前作の数十年後の物語が描かれる。調律師であるライラックが、人工生命のホムンクルスをめぐる戦いと出会いをまじえて、世界と向き合っていく。前作に引き続き、アドグローブとLive Wireが共同開発。昨年3月より早期アクセスでの開発を経たのち、1月23日に大規模アップデートと共に正式リリースされ、高い人気を博している。
『エンダーリリーズ』および『エンダーマグノリア』は、メトロイドヴァニアゲームだ。メトロイドヴァニア作品は、日々多くのゲームがリリースされている。つまりライバルが多いわけだ。にもかかわらず、非常に高い評価を獲得し、しっかりセールスで結果を出している。何がヒットの要因なのだろうか。
弊誌AUTOMATONでは、『エンダーリリーズ』『エンダーマグノリア』ディレクターの岡部佳祐氏およびリードゲームデザイナーの横山泰裕氏に、こうした疑問をぶつけてみた。すると以下のような返答をもらった。
横山氏:
元々、『エンダー』シリーズというプロジェクトの発端になっている社長の小林は、アートや世界観の方に興味が強い人間なんです。『エンダー』シリーズは、その部分がありつつ、ゲーム部分も面白い作品にしようという、エモさと面白さを両取りしようというプロジェクトだったんです。
そこでどの部分が評価されているかというと、両方のバランスが良いというところが多くの人に受け入れられているのかなと。エモいけどゲームとしてはクセがあるとか、反対に面白いんだけどシステムに寄り過ぎているゲームとかもある中で、『エンダー』シリーズはそのバランスが絶妙にうまくできたのかもしれません。
筆者の意見ではあるが、そもそもとして、メトロイドヴァニアの源流となる『メトロイド』や『キャッスルヴァニア』はストーリーの魅力はある一方で、やはりシステム面での探求心が高いシリーズである印象。メトロイドヴァニアゲームのヒット作はいずれも、ゲームデザインやシステム面に寄ったものが多い印象である。『SANABI』などはストーリーが強くアピールされているものもあるが、探索デザインはストーリーのための仕掛けという側面が強い。どちらが欠けているというのではなく、アピールポイントがどちらかに寄りがちなのだ。
そう考えると、ストーリーとシステムのバランスを均等に押し出しているメトロイドヴァニアは意外と珍しいかもしれない。『エンダー』シリーズが、メトロイドヴァニアではあるが個性をもち、手に取りやすいように見えるのには、こうした「あるようでないメトロイドヴァニア」だからだろう。ヒットの理由のひとつといえるかもしれない。

なお、同インタビューについてはこちらから読むことができる。そのほかさまざまなこだわりが語られているので、ぜひ読んでみてほしい。
『ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist』は、PC(Steam)およびNintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S向けに販売中だ。