Electronic Arts(以下、EA)は13日、複数の自社開発スタジオを統合した新組織「EA Worldwide Studios」(以下、EA WWS)の設立を発表した。EA MobileとMaxisに加えて、DICEのゲームエンジン「Frostbite」の開発チームが組織の一部として組み込まれる。最高経営責任者Andrew Wilson氏は、公式声明の中で発足の経緯について触れ、“プレイヤー第一”を掲げた企業責務の一環として、目まぐるしく変化を続けるゲーム業界に強固な組織基盤を構築するためであると説明している。
EA WWSは、現在EAで執行役員副社長を務めるPatrick Soderlund氏を筆頭に、『The Sims』シリーズのMaxisとEA Mobileを引き続き率いるSamantha Ryan氏、Frostbiteチームを率いるテクノロジー部門の責任者Ken Moss氏によって統括される。同時に、Ryan氏は、『Dragon Age』『Mass Effect』シリーズを手がけてきたBioWareの新代表に就任。同スタジオのゼネラル・マネージャーAaryn Flynn氏と共に、RPGフランチャイズの将来を担っていく。なお、Frostbiteエンジンは、DICEの代表作『Battlefield』シリーズはもちろん、『Need for Speed』や『FIFA』といった名立たるフランチャイズに使用されている。その根幹を担う開発チームがEA WWSに統合されたということは、今後生みの親であるDICEがエンジンの運用に直接携わらない可能性も考えられる。
EAはBioWareやMaxisを代表例に、人種やセクシャリティによる別け隔てのない作品や職場環境の構築に注力することで、多様性を重んじる企業として世界から高く評価されてきた。その一方で近年、消費者の投票によって全米最悪企業を決定する“黄金のクソ”アワードに数年連続で輝くなど、不名誉なレッテルを貼られたことも事実。今年8月、業界メディアIGNのインタビューに答えたCCO(Chief Competition Officerの略、昨年12月に新設されたe-Sports部門の最高責任者)のPeter Moore氏は、世間の評価を真摯に受け止めた上で、信用の回復に向けた“プレイヤー第一”主義を繰り返し強調した。その一環として、EAはゲームの開発状況を早期の段階から可視化することに加えて、ベータテストでプレイヤーが作品に触れられる機会の増加や、完成度を約束するために状況に応じた発売日の延期を、運営方針に盛り込んでいる。