Electronic Artsの”Origin”幹部、PCゲーマーとの関係改善を望む。「我々はPCゲーマーの信頼を取り戻す旅にでている」
Electronic Artsの「Origin」シニア・マーケティング・ディレクターPeter O’Reilly氏は、海外メディアMCVの取材を通じ、PCゲーマーとの関係改善を望んでいることを明らかにした。多数のゲームフランチャイズと強大な開発力・パブリッシング力を持つ大企業EAだが、現在まで必ずしもゲームファンといい関係を築けてきたわけではない。信頼回復へ向け、同社は様々な施策に乗り出している。
ローンチ問題
2008年に発売された『Spore』のDRM問題から始まり、Visceral MontrealやMaxisなど有名な独立系の開発スタジオを買収しては潰すといった行為まで。近年EAへは様々な理由でゲーマーから不信感が寄せられているが、ここ数年はさらに有名シリーズの最新作のローンチでことごとく問題を起こしている。不具合を残したままローンチされた『Battlefield 3』『Battlefield 4』、オンライン化により様々な弊害が発生した『SimCity』、シリーズ従来の機能が失われた『The Sims 4』など、最新作が発売される度になにかとファンたちとの間で争いが起きたのは記憶に新しい。
O’Reilly氏は、「我々はPCゲーマーの信頼を取り戻す旅にでています」とMCVに対し語る。「ここ数年、我々はローンチ時からすばらしいプレイ体験を約束できるように集中してきました。OriginではGreat Game GuaranteeやOn the House、そして先日のOrigin Accessなどで、プレイヤーによりよい体験をもたらしています」。
O’Reilly氏がコメントしたように、EAは近年ローンチ時期を年末商戦よりも後にずらすことをいとわなくなってきた。たとえば当初2014年10月に発売が予定されていた『Battlefield Hardline』は、ホリデーシーズンを超え2015年3月へと発売が延期されている。また『Star Wars: Battlefront』では、COOのPeter Moore氏が「出来がよくなければ延期する」と発売前に発言し一部で注目を集めた。ホリデーシーズンに合わせてベータ版状態のゲームが無理くりリリースする、という光景は徐々に消えつつある。
Originの充実
Originにおいても、2013年には全額返金に対応する「ゲーム満足保証プログラム(Great Game Guarantee)」を発表。過去作を一定期間無料で提供する「Originからのプレゼント」や、一定期間のあいだ無料で製品版をまるまるプレイできる「Origin ゲームタイム」など、魅力的なサービスを展開している。先日にはXbox One向けに展開されていた「EA Access」のPC版に当たる「Origin Access」も発表されている。
またO’Reilly氏によれば、現在Originにおけるゲームタイトルラインナップの増加が計画されており、それはライバルのパブリッシャーのものも含まれているという。Originを起動するのはEAタイトルをプレイする時だけ、というユーザーは少なくないと思われるが、今後はSteamやGOG.comのように様々なタイトルを扱うサービスとなることを望んでいるようだ。
かつてはアメリカでその年の最悪の企業を決定する「Golden Poo Award(金のうんこ賞)」を2012年・2013年と連続して受賞したEA。しかし2013年9月にAndrew Wilson氏が若きCEOとなって以降、徐々にユーザーフレンドリーな会社になろうと努力を続けているように見える。今年6月に実施される一大ゲームイベント「E3」に合わせては、従来のE3会場への出展を取りやめ、プレイヤーへの情報発信を重視していることを匂わせる独自イベント「EA Play」を開催することを明らかにしていた。