低調だったスマホゲーム開発会社KLab、アラブの投資会社などから「約51億円」の資金調達。“残キャッシュわずか”から一気に持ち直す
KLabは12月5日、第三者割当による新株式および新株予約権の発行による、約51億円の資金調達を実施すると発表した。

KLabは12月5日、第三者割当による新株式および新株予約権の発行による、約51億円の資金調達を実施すると発表した。これに伴い、アラブ首長国連邦(UAE)の投資会社が筆頭株主となっている。
同社は、モバイル向けオンラインゲームを中心とした企画・開発・運営などをおこなっている老舗デベロッパーだ。現行タイトルとしては、『BLEACH Brave Souls』や『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』などが運営中である。一方で『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』などサービス終了したゲームもあり、近年では業績悪化も続いていた。

今回KLabは、UAEの投資会社ULTIMATE CLASSIC INVESTMENTや、デジタル・クリエイティブスタジオ事業を展開するSun Asteriskとの資本業務提携を発表。そして、両社およびシックスセンツホールディングス、JTフィナンシャルを割当先とする第三者割当による新株式の発行、またULTIMATE CLASSIC INVESTMENTとJTフィナンシャルを割当先とする第23回新株予約権の発行をおこなうことについて、12月5日付の取締役会にて決議したことを明らかにした。これにより、51億1154万7500円の資金を調達する見込みとのこと。
調達資金の使途としては、今年12月から2026年12月までの期間を対象に、新規大型モバイルオンラインゲームの企画・開発・運営に10億円、新規事業の開発に5億円、そしてビットコインおよび金(金ETF等を含む)の購入に36億円とされている。
このうち新規大型モバイルオンラインゲームの企画・開発・運営に関しては、スクウェア・エニックスと共同開発中のローグライトRPG『ドラゴンクエストスマッシュグロウ』におけるリリース後の継続した運用体制の整備や、「僕のヒーローアカデミア」関連の新規タイトル開発などに触れ、企画・開発・運営を確実に実行するための費用に調達資金を充当する予定だとした。
なお今回の資金調達に伴い、KLabの大株主の持ち株比率は大きく変化し、ULTIMATE CLASSIC INVESTMENTが23.15%を保有する筆頭株主となった。同社との資本業務提携にあたっては、企業経営および財務戦略領域において豊富な知見を有するという、UAEを構成するラス・アル・ハイマ首長国の王族であるシェイク・サレム・カリード・フマイド・モハメド・アル・カシミ殿下を顧問として受け入れる予定とのこと。
本取引に関してKLab代表取締役社長の真田哲弥氏はFacebookへの投稿にて、社長に復帰した今年3月時点では同社の残キャッシュがわずかで、次の新作発表までキャッシュが持たないかもしれないという不安でいっぱいだったと振り返っている。従業員を大幅削減し、オフィスを半分以下に縮小し、保有資産を売却してもなお、資金ショートの時期が刻々と迫ってくるような状況だったそうだ。そして、長期保有限定での投資家探しを続け、今回の資本業務提携に至ったとのこと。同氏は、「押しつぶされそうな不安から、やっと解放されます。この不安感と達成感は、ベンチャー社長だけが味わえるスリルです。もうこれで最後にしたいけど(笑)」とコメントしている。
KLabは今後の見通しとして、同社グループでは大型IPタイトルおよびハイブリッドカジュアルゲームのパイプラインを複数抱えているとした上で、本資金調達を通じて財務戦略の柔軟性の更なる確保が可能となるとコメント。そして、これらのプロジェクトを間断なく進めることに加えて、新規事業の立ち上げを加速させていくことにより、グループの中長期で持続的な事業成長へと繋げていくとした。
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