Discord、「年齢確認システム」を一部地域でテスト開始。顔認証or本人確認書類提示で、本当に大人かチェック
Discordにて、イギリスとオーストラリアのユーザーを対象に「顔認証や本人確認書類の提出」を求める年齢認証システムが実験的に導入されているという。

Discordにて、イギリスとオーストラリアのユーザーを対象に「顔認証や本人確認書類の提出」を求める年齢認証システムが実験的に導入されているという。
Discordは、テキストチャット・音声通話・画面共有などが可能なアプリだ。ユーザーが好みのテーマのサーバーを立て、そこにほかのユーザーが集う仕組みが特徴。PC/スマートフォンのほか、PS/Xbox向けにも連携機能が用意されている。
Discord においては、アカウント作成時に生年月日などを入力することになる。というのもDiscordは13歳未満の利用が利用規約で禁止されており、13歳から17歳のユーザーには未成年のユーザー向けの制限も設けられている。そして未成年を保護する取り組みとして「不適切コンテンツフィルター」が存在。Discord側がセンシティブと検出したメディアについて、未成年のユーザーに対して表示が制限される機能が備わっている。ちなみに成人ユーザーはデフォルトではすべてのメディアが表示されるものの、設定にて同様の表示制限が可能となっている。
今回Discordは、イギリスとオーストラリアにて「顔認証や本人確認書類の提出」を求める認証プロセスを実験的に導入している。この認証プロセスは年齢確認のためのものだ。この年齢確認はPS/Xboxを含む全てのデバイスで、対象地域のユーザーに行われるとのこと。本プロセスの実験的な導入がいつまで行われるのか、そして将来他の地域で実装されるかどうかは現時点では不明だ。
公式FAQによると、ユーザーが「Discordからセンシティブ判定を受けたコンテンツ」にアクセスしようとしたとき、あるいは「コンテンツフィルターの設定を変更しようとした」場合、「顔認証」または「本人確認書類の提出」が要求されるシステムとなっている。認証は数分ほどで行われ、ユーザーがどの年齢層に当たるか、Discord公式アカウントから認証されたことを伝えるメッセージが送られるようだ。

この年齢確認は一回限りであり、センシティブなコンテンツにアクセスする度に何回も認証する必要はないとのこと。また誤った年齢層に当てはめられた場合、再度年齢確認を行うことができる。
ただ、もしユーザーの年齢の判定がDiscord自体の年齢制限(13歳)を下回っていた場合、アカウントがBANされる可能性があるという。もし誤ってBANされてしまった場合、異議申し立てができるようだ。ほか、公式FAQによると、「共有された個人情報は、Discordやその運営会社によって保存されることはない」とのこと。顔認証の場合、使用されるシステムは(ユーザーの)デバイス内で動作するため、顔をスキャンする際の生体情報が収集されることはないとされている。また本人確認書類の場合、スキャンされた画像は認証時に削除される、という。

とはいえ「顔認証」というシステム自体に対する懸念も存在しているだろう。過去にゲームレーティング団体のESRBが顔認証による年齢判別システムの導入を検討した際にはパブリックコメントが募集されたが、ユーザーからは多くの懸念の声が寄せられた(関連記事)。同システムでも顔写真がデータとして保存されないことやプライバシーへの配慮なども説明されていたものの、そうした説明を踏まえても抵抗感を覚えるユーザーが多いことを示す事例といえる。
一方、Discordは『Minecraft』や『Fortnite』など協力プレイゲームにおける交流手段としての役割も果たしており、幅広い年齢層が利用しているだろう。特に昨今ではPS/Xboxといったゲーム機との連携機能が登場したこともあり、年齢認証の正確性が求められている状況はありそうだ。そうしたニーズや企業の社会的責任もあり、今回の年齢判別システムの導入が検討されているとみられる。まずは一部地域に絞って実験的に導入されるという慎重な姿勢もうかがえ、今後の動向は注目される。