Blizzard Entertainmentのコミュニティマネージャーらは、アクションRPG『Diablo III』のパッチ2.2.0にて、マイクロトランザクション(小額決済)を一部地域で導入することを示唆した。マイクロトランザクションはアメリカ地域および欧州地域、アジア地域では導入されず、現時点では計画もないことが明言されている。昨年7月に正式サービスが発表された、中国サーバー向けのビジネスモデルとみられる。
新通貨"プラチナ"など登場
パッチ2.2.0では、前述した主要地域以外で特定のコンテンツが登場する予定だ。"Platinum(プラチナ)"と呼ばれる新通貨を筆頭に、時限制の経験値ブースト、戦闘に関与しないペットや衣装アイテムなどが盛り込まれる。スタッシュ(アカウント共有倉庫)の容量やキャラクタースロットの拡張に関するものも登場する。これらの要素に対応する新UIも実装されるという。
Blizzardは、前述の新要素が一部地域で導入されることを明らかにしており、コミュニティマネージャーも、「多くのプレイヤーが『Diablo III』へのマイクロトランザクション追加に興味を示してきたことを理解している。一部地域でこのモデルを調査することになるかもしれないが、購入要素や前述したようなものをアメリカ地域やアジア地域に早急に実装するような計画は現時点ではない」と発言している。
海外メディアPC Gamerの問い合わせに対し、Blizzardの担当者は、マイクロトランザクションが一部地域で導入されることを暗に認めつつも、その詳細については現時点で共有できないとした。現在AUTOMATONでも、Blizzard Entertainmentへ今回の件について問い合わせている。さらに詳細な返答があった場合には、続報をお伝えする予定だ。
ローンチ発表された中国で導入か
See also: インタビュー セガ 木村裕也 [前編] 「裏」を見る『PSO2』のバランス調整マイクロトランザクションが実現するとするならば、どの地域で導入されるのか。有力視されるのは、昨年7月に正式リリースが発表された中国地域だ。現時点でBlizzardから正式なローンチ時期は明らかにされていないが、発表から半年以上が経過しており、今回の新要素導入に関連して動きを見せる可能性がある。中国国内での運営を担当するのは、中国最大手のポータルサイトの1つNetEase(網易、もうい)だ。今回の『Diablo III』だけでなく、『World of Warcraft』や『Hearthstone』などBlizzard製タイトルの運営を担当している。
オンラインゲーム大国とも呼ばれる中国では、サブスクリプションよりもマイクロトランザクションが主流となりつつある。そして巨大市場を制覇するには、パブリッシャーやデベロッパーはそういった市場の変化に柔軟に対応する必要があるのだ。どちらも中国専用のタイトルである、カプコンの『Monster Hunter Online』や、Activisionの『Call of Duty Online』などは、その最たる例である。
昨年、Blizzardは『Diablo III』のオークションハウスを廃止した。その際、オークションハウスが「モンスターを倒してアイテムを手に入れる」という『Diablo III』の根幹を蝕んでいたと説明している。今回導入が発表された新要素には武器や防具などは含まれておらず、中国市場でもその精神は変わらないようだ。