デッドプールのアクションゲーム『Deadpool』開発費が“約100億円だった”との噂を当時の関係者が否定。「GTAレベル」の予算などありえない
映画「デッドプール&ウルヴァリン」の劇場公開を受けて、かつて発売されたデッドプールのアクションゲーム『Deadpool』の“開発費”ににわかに注目が集まっているようだ。
本作の開発にかかった費用としては、1億ドルだったとする噂が存在。業界内でもかなり高額の部類に入るが、当時の関係者がこれを否定している。海外メディアTime Extensionなどが報じている。
『Deadpool』は、PC/PS3/Xbox 360向けに2013年に発売されたアクションゲームだ。開発はHigh Moon Studiosが担当し、Activisionが販売。2015年にはPS4/Xbox One版もリリースされている。マーベル・コミックのスーパーヒーローであるデッドプールを主人公とし、オリジナルの物語がユーモア溢れる展開で描かれるほか、銃や刀などを駆使したコンボアクションを楽しめる。なおライセンス契約の終了により、本作は現在は販売されていない。
本作については、あまり高い評価を得られなかった一方で、1億ドル(約100億円・当時のレート)もの開発費が投じられたとの見方が広まっている。そして今月公開された映画「デッドプール&ウルヴァリン」にあわせてか、大失敗した「デッドプール」作品という文脈で、一部の著名YouTuberが本作『Deadpool』を紹介。これに対し、本作の発売当時Marvel Entertainmentにてゲーム向けライセンス事業に携わっていたChris Baker氏が7月23日、1億ドルもかかっていないと否定している。
Chris Baker氏は、『Deadpool』の開発費の正確な数字は把握していないとしつつ、1億ドルというのは当時でいう「GTAレベル」の金額であり、本作の開発費はそれとは程遠かったと振り返っている。ちなみに2008年発売の『Grand Theft Auto IV』では、同作のプロデューサーが制作には1億ドルかかった見込みであると明かし、当時もっとも多くの開発費が投じられた作品の可能性があると報じられた(GamesIndustry.biz)。『Deadpool』は、そんな超巨大なAAAタイトルと肩を並べるような規模の作品ではなかったため、1億ドルもかかることなどあり得ないという指摘だろう。
では、本作の開発費としての1億ドルという数字は、どこから出てきたものだろうか。ゲームの開発費は、メーカーから公表される場合もあるが、本作については明らかにされていない。その他の例としては、アナリストやメディアが推計として算出する場合がある。
本作に関しては、一部海外メディアが「高額開発費ゲーム特集」のようなかたちで『Deadpool』を取り上げ、その中で1億ドルと推計されると報道。ただ、いずれも何を根拠として1億ドルと算出したのかは記されていない。ともあれ、こうした報道をもとに、本作は1億ドルもの開発費が投じられた作品との受け止めが広まっていた格好だ。
Chris Baker氏は、自身が公開した動画内でそうした海外報道にも言及しながら、1億ドルという数字の大元の情報源は何なのか、皆目見当がつかないとコメント。デッドプール本人が、ゲーム内でジョークとして述べていた可能性はあるかもしれないと述べている。いずれにせよ、本作の開発費が「9桁(1億ドル)にものぼるというのは、まったくもって馬鹿げている」とのこと。同氏は、1億ドルとの記載が残るWikipediaページを、誰か編集してほしいと呼びかけている。