有名ゲーム企業へのDDoS攻撃続く、「Lizard Squad」が犯行声明
8月24日、北米の公式PlayStation.Blogは「人為的な高トラフィック」のためPlayStation Networkサービスへの接続やゲームプレイに大きな影響が出ていると発表した。海外だけでなく国内からもPSNへログインできない状況が一時発生していたが、本稿掲載時点でサーバーは復旧している。
PSNはDDoSアタックの標的になったとみられる。真相はまだ判明していないが、Twitter上では「Lizard Squad」なる"チーム"がPSNをオフラインにしたとツイートした。「ソニーはPSNサービスで手にいれたカネを投資していない。守銭奴もこれでおわりだ」と犯行声明を出している。Lizard SquadはPSN以外にもXbox LIVE、『Hearthstone』や『Diablo 3』、『World of Warcraft』といったBlizzard Entertainment製タイトルのサーバーBattle.netや、さらには『League of Legends』や『Path of Exile』および『Dota 2』へのサーバー攻撃も宣言している。すべての攻撃が実現しているわけではないようだが、XboxのサポートページやBlizzardの公式Twitterアカウントはそれぞれ問題が生じていると報告した。
この「Lizard Squad」が何者であるかは現時点で不明だ。彼らの言葉を信じるならば、すくなくとも8月18日時点から有名ゲームタイトルのサーバーへと手当たり次第に攻撃をつづけている。先週はじめには『League of Legends』や『Runescape』を標的にしたことをツイートし、フォーラムでゲーマーたちが慌てふためく様子をあざけりつつ、「笑えるのは、われわれがまだ全力を出していないということだ」とツイートしている。DDoSアタックの手際に関しては自信ありげだ。
チーム「LulzSec」によりPSNサーバーがクラックされ大量のユーザーデーターが流出した2011年の事件は記憶にあたらしい。だがLulzSecと今回のLizard Squadにて大きく異なるのは大義名分だ。LulzSecはインターネットや"ハッキング"の自由をもとめる集団だった。かつてのPSNへのクラックは2011年にPlayStation 3のJailbreak(脱獄)を成功させたユーザーをSCEAが訴訟したことが動機の一つとみられている。
だが今回のLizard Squadがなにを目的に一連のサーバー攻撃におよんだのかは判然としない。むしろサーバー上でサービスを提供している有名ゲーム企業へ手当たり次第に攻撃しているようにもみえる。8月21日にTwitter上で彼らは「どうしてこんなことをするかって? 数百万ドルもかせいでるのに企業は君たちから手に入れたカネをためこんでいるんだ。DDoSはとても古い攻撃手段だが、おもしろいよ」とも発言しており、企業をあざわらっているかのようだ。冗談がいりまじった言動から真意は読みとれそうにない。「PCこそ支配種族」などと崇拝を示唆するツイートもしているが、攻撃対象にはPC用タイトルも数多くある。
そしてこの大規模なサーバーアタックにとどまらず、Lizard Squadはさらなる問題を発生させている。Sony Online EntertainmentのプレジデントJohn Semdley氏が搭乗していた飛行機に爆発物があるかもしれないと発言したのだ。Lizard Squadはアメリカン航空の公式Twitterアカウントに対し、「ダラス・フォートワース空港からサンフランシスコ空港へ向かっている362便に爆弾が取りつけられたとの報告をうけている、調べてみてくれ」とツイートした。つづけて9.11事件の映像をJohn Smedley氏のTwitterアカウントに送りつける悪趣味ぶりだ。Smedley氏も反応している。この報告は実際にアメリカン航空に影響をあたえた。ロイターが報じたところによると、「セキュリティ上の問題」で362便の目的地はサンディエゴからアリゾナのフェニックス・スカイハーバー国際空港へと変更されている。
海外Kotakuによると、SOEはこの件についてコメントを拒否している。だが一方、FBIは爆弾脅迫事件として調査を開始したことを明らかにした。対するLizard SquadはFBIに対して「お前は俺を捕まえられない、俺は神だ」とツイートし、依然として高慢な態度を崩していない。イスラーム国(Isramic State, IS)の旗をソニー本社に立てたなど過激な発言も続けている。