『クラッシュ・バンディクー5』が開発中止になったのは、「運営型ゲーム重視」なActivisionの方針が原因との報道。スパイロと冒険するシリーズ続編が出るはずだった


Activisionが展開している『クラッシュ・バンディクー』シリーズについて、ナンバリング最新作の開発が中止されたことが以前明らかになっていたが、その背景には当時同社が運営型ゲームに注力していたことがあったようだ。YouTubeチャンネルDidYouKnowGaming?が8月25日に報じている。

『クラッシュ・バンディクー』は、1996年から続く人気シリーズだ。主人公クラッシュをはじめとした多彩なキャラクターたちが登場し、アクションゲームを中心にレースゲームなどでも展開。初期作品はNaughty Dogが手がけていたことでも知られる。


『クラッシュ・バンディクー』シリーズにおいては、2017年に初期3作品のリマスター版『クラッシュ・バンディクー ブッとび3段もり!』がシリーズのメインタイトルとして久々にリリースされたことを皮切りに、『クラッシュ・バンディクーレーシング ブッとびニトロ!』、『クラッシュ・バンディクー4 とんでもマルチバース』と立て続けに発売された。

『クラッシュ・バンディクー4 とんでもマルチバース』の開発元Toys For Bobは、その後続編『クラッシュ・バンディクー5』を手がけていたが、開発中止になったとされる。同スタジオの元アーティストNicholas Kole氏が今年7月に明らかにしている(関連記事)。ちなみに、過去の同シリーズの邦題では原題にないナンバリングが付けられ、日本では2004年に『クラッシュ・バンディクー5』が発売済みだが、もちろんそれとは異なる作品である。

未発売ゲームの情報を含むゲーム業界の歴史を中心に扱う人気YouTubeチャンネルDidYouKnowGaming?による関係者への取材によると、『クラッシュ・バンディクー5』は『クラッシュ・バンディクー4 とんでもマルチバース』の直接の続編として開発が開始され、『スパイロ・ザ・ドラゴン』とのコラボも計画されていたという。


開発元Toys For Bobは、『スパイロ・ザ・ドラゴン』シリーズ初期3作品のリマスター版『Spyro Reignited Trilogy』の開発を担当しており、また両シリーズは過去にもコラボしていたことがある。『クラッシュ・バンディクー5』においてはスパイロもメインのプレイアブルキャラとなり、クラッシュと一緒に冒険するような内容だったそうだ。

ただ開発初期段階の2020年11月に、Toys For Bobの親会社Activisionが開発中止を決定したという。当時Activisionは、高額な予算をかけたシングルプレイゲームよりも、大きな収益を見込める運営型のマルチプレイゲームに注力しており、その方針に沿った判断だったとのこと。前作の売れ行きも判断材料とされたそうだ。同時期には、スケボーゲーム『トニー・ホーク プロ・スケーター』シリーズの新作も開発中止されたとDidYouKnowGaming?は報告している。


その後Toys For Bobは、『Call of Duty』シリーズ開発のサポートなどを経て、『クラッシュ・チーム・ランブル』を開発することに。同作は、『クラッシュ・バンディクー』シリーズのヒーローやヴィランが登場し、アリーナステージにて4対4で戦うオンラインマルチプレイゲームだ。

『クラッシュ・チーム・ランブル』は、もともと「Lava」というコードネームでプロトタイプ制作がおこなわれていたそうで、DidYouKnowGaming?ではその当時の映像も公開。一度はお蔵入りになったものの、『クラッシュ・バンディクー4 とんでもマルチバース』のアセットを活用して開発再開され、運営型ゲームとして2023年6月にPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに発売された。Toys For Bobでは、『Call of Duty』シリーズ開発のサポートに回るなかでもオリジナル作品開発を模索していたそうで、Activisionが求める運営型ゲームとすることで『クラッシュ・チーム・ランブル』開発の承認を得たようだ。ただ、あまり高い人気を得ることができず、Nintendo Switch版の開発が中止されたとも今回報告されている。

なお開発元Toys for Bobは、その後マイクロソフトによるActivision Blizzard買収により同じく傘下入りしたが、今年2月に再独立を果たしている。現在はマイクロソフトと提携して、何らかの新作を開発中だ。