Cliffy B氏、キャンペーンモードはFPSの開発費の75%を占めると語る。不透明なキャンペーンモードの未来


『Evolve』、『Rainbow Six Siege』や『Star Wars Battlefront』など、近年のFPSはマルチプレイヤーモードのみに焦点を絞るゲームが多くなってきており、キャンペーンモードを搭載しているゲームは限られてきている。現在アメリカのテキサスで行われているイベントPAX Southで、『Gears of War』などで有名なCliff Bleszinski氏(通称 Cliffy B)がPC gamerのインタビューに答え、こういった近年の傾向を解説している。

“キャンペーンモードにはとにかくお金がかかるんだ。開発費の75%にも及ぶ。プレイヤーは週末にはキャンペーンを終わらせ、さっさとオンラインに行くものだ。従来のFPSのキャンペーンは一本道で、敵を倒しながら展開されていき、ユーザーもそのお約束をわかっている、2日で終わるべきキャンペーンなんだよ。かといってアサシンクリードやスカイリムのようなものを作るにはお金がかかりすぎる。そうなると60ドルのパッケージには収まらないよ。”

近年の大作では『Battlefield Hardline』がキャンペーンモードを搭載していたが、以前に比べると減少の一途を辿っていることは否定できない。『Titanfall』ではこの課題にたいしてマルチプレイヤーキャンペーンという答えを示している。一部ではマルチ中にストーリーを展開されても耳に入ってこないという批判もあったようだが、この形式はキャンペーンモードの新たな形であると言えるだろう。根強い人気のキャンペーンモードを抱える『Call of Duty』シリーズでさえ『Call of Duty : Black Ops 3』ではPlayStation 3/Xbox 360版においてキャンペーンを削減し価格を下げるという手法をとっている。

IGNはこのキャンペーンモードの削減が行われる裏側を考察している。キャンペーンモードの開発には専用チームが必要になり、つまり、マルチプレイヤーモードのチームとあわせてふたつのチームを用意しなければならないということになる。そうすると開発費用が倍になってしまう。また、マルチプレイヤーモードはリプレイ性が高く何度も遊ぶコンテンツであるのにたいし、キャンペーンモードは一度しか体験しないことが多い。この事情を踏まえCliffy B氏が述べたようなコストの問題を考えると、キャンペーンモードが削減されることはやむを得ないという見方もある。

一方でTake TwoのCEOであるStrauss Zelnick氏は『Evolve』にキャンペーンモードを搭載しなかったという選択にたいし、迷いがあったことを告白している。Zelnick氏は『Evolve』に手強いキャンペーンモードを搭載しようと考えていたが、最終的には実現しなかったようだ。『Evolve』はマルチプレイヤーモードに少し焦点を当てすぎていたかもしれないと語っている。

キャンペーンモードはFPSゲーマーにとって馴染み深いものであり、ほとんどのFPSに搭載されてきたが、開発コストという点で問題を抱えているようだ。Cliffy B氏の現在開発中の『LawBreakers』はFree to Play形式ということでマルチプレイヤーモードのみであるが、フルプライスゲームでもこの傾向は拡大していくのだろうか。