『クロノ・トリガー』のトリビュートアルバム「Chronicles of Time」が発売、200人を超えるアーティストによるリミックスの集大成
1995年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたRPGのドリームプロジェクト『クロノ・トリガー』。光田康典氏がメインコンポーザーを務めた本作のゲーム音楽は、同時期にスーパーファミコン黄金時代を共に支えた『聖剣伝説』『ファイナルファンタジー』『ロマンシング サ・ガ』シリーズの音源と並んで、20年以上たった今もなお世界中のレトロゲーマーに愛されている。そんな古き良きビデオゲーム・ミュージックを、200人を超えるファンがアレンジしたトリビュートアルバム「Chronicles of Time」が、2月14日に発売された。2年の制作期間を経て完成したというリミックスの集大成は、ディスク5枚にわたる全75曲から構成されており、ディスクごとにゲーム内の時代や音楽ジャンルが異なる。
ゲーム愛あふれる作品の収益は全額寄付
『クロノ・トリガー』は、1995年3月にスーパーファミコンで発売されたロールプレイングゲーム。エグゼクティブプロデューサーを『ファイナルファンタジー』の坂口博信氏、ストーリー原案を『ドラゴンクエスト』の堀井雄二氏、キャラクターデザインを「ドラゴンボール」の鳥山明氏が担当しており、ドリームプロジェクトと銘打ったキャッチフレーズが、当時の週刊誌やテレビCMで大いに脚光を浴びた。“時の引き金”というタイトルどおり、タイムトラベルをテーマにした世界観で、異なる時代で交差する登場人物たちの絆が描かれている。時空を越えた壮大なストーリーと、種族を越えた個性的なキャラクターが絶大な人気を博し、後にPlayStationやニンテンドーDSへ移植された。また、2011年からは任天堂のバーチャルコンソールでもデジタル配信されている。なお、1999年には、続編にあたる『クロノ・クロス』が発売。前作とは一風変わって、こちらはパラレルワールドを題材にしている。
トリビュートアルバム「Chronicles of Time」の楽曲を手がけているのは、Dwelling of DuelsやOverClocked ReMixといった、アレンジ音源投稿サイトで活躍する総勢200人を超えるコミュニティーアーティスト。これまで光田康典氏はもちろん、『ファイナルファンタジー』シリーズで知られる植松伸夫氏や、『フロントミッション』『バハムートラグーン』で知られる松枝賀子氏が作曲したスーパーファミコン時代のRPG音源を、数多くリミックスしてきた編曲のエキスパートたちだ。また、『Unreal』や『Deus Ex』を手がけたことで知られ、『The Elder Scrolls V: Skyrim』では声優も担当したプロの作曲家、Alexander Brandon氏も参加している。なお、同チームは、2013年にも『聖剣伝説』シリーズのアレンジアルバム「Spectrum of Mana」を発売している。
ディスク5枚にわたる全75曲は、ゲームに登場する時代と音楽ジャンルごとに区分されている。1枚目は原始時代の陽気なリズムをロック調で、2枚目は古代の魔法と冒険の世界をシンセサイザーで、3枚目は中世の落ち着いた世界観をナチュラルに、4枚目は現代の悲しげな雰囲気をジャズやダンスミュージックで、5枚目は崩壊後の未来をメタルで破壊的かつドラマティックに表現しており、ディスクごとに全く異なる作風が楽しめるのが特徴だ。また、「Chronicles of Time」には、13人のアーティストによる50以上のアート作品が収録されている。『クロノ・トリガー』の舞台となる各時代を幻想的に描いたコンセプトアートから、ユニークな登場人物たちをコミカルなタッチで描いたキャラクターアートまで、ゲームシーンを網羅した作品の全ては、公式サイトで閲覧できる。
「Chronicles of Time」は、カバー曲のライセンスやダウンロード販売を取り扱うLoudrや、メディアプレーヤーiTunesから、19.99ドルで購入可能。任意の曲だけを各1ドル程度でダウンロードすることもできる。なお、収益は全額、国際慈善団体の国境なき医師団へ寄付される。余談になるが、昨年10月には、メインコンポーザー光田康典氏の作家生活20周年を記念して、『クロノ・トリガー』と『クロノ・クロス』の楽曲を同氏自らが編曲した公式アレンジアルバム「ハルカナルトキノカナタへ」が発売された。「風の憧憬」「時の回廊」「CHRONO CROSS ~時の傷痕~」「RADICAL DREAMERS ~盗めない宝石~」といった両作を象徴する音源が、ボーカル曲を含む全10曲で綴られている。生まれ変わった昔懐かしのクロノサウンドが、ノスタルジックな記憶を喚び起こす“時の引き金”になること間違いなしだろう。