中国企業Tencentが小島監督のヘッドハントに乗り出したとの噂、プロダクション解体に渦巻く巨匠の行方


『League of Legends』のRiot Gamesや「Unreal Engine」のEpic Gamesを傘下に置く中国企業Tencentが、今年3月に執行役員を解任されたコナミデジタルエンタテインメント(以下、コナミ)のゲームクリエイター、小島秀夫氏の起用に乗り出したとの噂がささやかれている。真偽は定かではないが、一部の海外メディアやフォーラムサイトを中心に話題が沸騰している。

 

「戦争は変わった」

海外メディアGearNukeによると、Tencentの役員は『メタルギア』シリーズ生みの親である小島氏を、新たなIPの開発を担う責任者として迎え入れることを計画しており、すでに交渉に向けて動き出しているとのこと。しかし、噂の発信元とされている中国のサイトmrgamerは、ユーザーが自由にニュースやレビューを投稿できるソーシャルメディアであるため、決して信ぴょう性が高いとはいえない。真偽の程は不明ながらも、海外フォーラムNeoGAFではTencentのアプローチに反対する声が多いようだ。いずれにせよ、小島プロダクションが消滅した今、世界中で神とまで崇められる大物クリエイターを迎え取りたい企業は少なくないだろう。

小島秀夫氏は今年3月、コナミの事業改変に伴い執行役員副社長を解任されていた。それまで監督として率いていた小島プロダクションは解体され、新設の第8制作部へ再編されている。同時に、映画監督ギレルモ・デル・トロ氏を迎えて制作していた新作『Silent Hills』は開発中止を余儀なくされた。コナミと小島氏の確執に関して多くは明かされていないが、後に日本経済新聞が同社をめぐる過酷な職場環境を報道。海外メディアにも大きく取り上げられ物議を醸した。

Tencentは、中国広東省に拠点を置く持株会社で、アジア圏を中心にSNSやレンタルサーバーをはじめ、幅広いインターネット関連サービスを提供している。2011年、基本無料のMOBAタイトル『League of Legends』を運営する米Riot Gamesを買収。翌年には、「Unreal Engine」の開発元であり、『Gears of War』を生んだCliff Bleszinski氏の古巣としても知られるEpic Gamesを傘下におさめた。また、Vivendi傘下のActivision Blizzardの大株主でもあり、ゲーム業界において着実に強い存在感を示している。