ビデオゲームの追加ストーリーコンテンツ、許容されるライン
ポーランドのデベロッパーCD Projekt REDは、『The Witcher 3: Wild Hunt』の拡張パックとなる「Hearts of Stone」と「Blood and Wine」を正式発表した。両拡張パックは『The Witcher 3: Wild Hunt』の開発終了後に製作される予定だ。すでに完成しているコンテンツを切り離して販売するわけではなく、対価に見合うだけの大規模なコンテンツとなることが強調されている。
『The Witcher 3』、古風な拡張パックを展開
CD Projekt REDの設立メンバーの1人Marcin Iwinski氏は、「アドオンディスクが意義あるコンテンツで真にゲームを拡張していた時代を覚えている。ゲーマーとして、その頃に戻りたい」とコメント。「もし有料コンテンツをリリースするならば、巨大なサイズであり価格に対して真の価値があるものになると今まで伝えてきた。両拡張パックは、現在存在する多数のスタンドアローンゲーム以上に、何時間ものゲームプレイを提供する」と続け、「Hearts of Stone」と「Blood and Wine」が過去に存在した拡張パックスタイルのコンテンツとなることを明らかにした。
今回のコンテンツはPCおよびPS4、Xbox Oneにて展開される予定だが、Steamではすでに両拡張パックをバンドルした「Expansion Pass」が2900円にて販売されている。「Hearts of Stone」は"主なき地の荒野とOxenfurtの裏路地"が舞台となり、謎めいたガラスの男との契約にまつわる冒険が繰り広げられる。「Blood and Wine」は、新エリアToussaintを舞台とする作品で、のどかな風土と騎士の儀式の下に隠された、いにしえの血塗られた秘密を追うという。両コンテツのプレイ時間は、それぞれ10時間、20時間となる。新たな装備や敵、新キャラクターや懐かしいキャラクターが登場するとのことで、説明を見るかぎりでは、Iwinski氏が語るように昔気質なコンテンツ満載の拡張パックとなるようだ。
ストーリーDLCの許容されるライン
昨年11月、CD Projekt REDは16種類のダウンロードコンテンツを『The Witcher 3』で無料展開すると発表した。その際にMarcin Iwinski氏は、CD Projekt REDのコンテンツ展開は「顧客が支払った対価に報いるべきである」と、説明している。今回のDLC展開が矛盾しているように思えるかもしれないが、Iwinski氏の考えは「小規模なDLCでフルプライスを支払ったユーザーから金を取る構造」を批判するものであり、海外メディアIGNとの過去のインタビューなどでも何度かそう伝えている。
AUTOMATONでは、CD Projekt REDに、2種類の拡張パックがどのような類のものとなるのかを問い合わせている。CD Projekt REDが1本のビデオゲームを購入したプレイヤーたちに敬意を抱き、本編で十分なコンテンツを提供した上で、さらに楽しませようとしていることは、恐らく納得できるだろう。だが、今回のようなシングルプレイヤーのストーリーDLCで懸念されるのが、"メインのストーリーをどの程度補完してしまうのか"だ。
主役キャラクターのように扱われていながら途中でパーティーから脱退するアリーシャの物語を描く『テイルズ オブ ゼスティリア』の「アリーシャDLC」や、本編で一切謎が明らかにされなかった女性キャラクター「キッド」の真相を描く『サイコブレイク(The Evil Within)』の「The Assignment」など、本編の物語から本筋や謎を取り除き、DLCとして販売してしまうケースは頻繁にある。今回の2種類の拡張パックが、これらコンテンツのように「存在しなければ本筋がわからない」ような存在でないことを願いたい。