『違う冬のぼくら』開発者新作『違う星のぼくら』は、開発者の「暗黒面」をもう我慢せず出している。なぜ

なぜこんな不穏な作りにしているのか。開発者のところにょり氏に話を訊いた。

講談社ゲームクリエイターラボは4月25日、『違う星のぼくら』を発売する。対応プラットフォームはPC(Steam)。本作のパズルギミックの一部が遊べる特別体験版も先行して配信中だ。弊誌は先立って、本作の開発者であるところにょり氏にインタビューを実施。同作においてはところにょり氏の「仄暗い部分」が全面に出ているそうだ。

『違う星のぼくら』は、宇宙探査船のクルー2人がそれぞれ目的を隠しながら未知の惑星を探索する、2人プレイ専用の目的秘匿型パズルアドベンチャーゲームである。本作の舞台は一度地球が破滅し、わずかに生き残った者たちが石器時代からやり直した世界だ。新たな文明を築き、宇宙にまで手を伸ばした彼らは、遠い惑星の探査計画を立てていた。

惑星までは遠く、到着まで数百年の時間を要する。そこで探査計画の人員として、死刑囚を活用することとなった。本作の主人公である2人のクルーは、とある惑星へ向かう途中に探査船が故障し、見知らぬ赤い惑星へ不時着する。しかし彼らには、何としてでも地球に戻らなければならない理由があった。疑いと決断を交えた、クルーたちの旅が描かれる。

前作となる『違う冬のぼくら』は、2人プレイ専用ゲームという設計を軸に、協力の楽しさとすれ違うほろ苦さも味わえる体験だ。暗いシーンも割とあるが、全体的にはやわらかい雰囲気の作品だったといえるだろう。一方で新作の『違う星のぼくら』は、もっと緊張感がある。それは本作の体験版をプレイしてもわかることだろう。なぜこんな不穏な作りにしているのか。ところにょり氏に話を訊いたところ、以下の返答をもらった。

ところにょり氏:
元々僕が作っていたゲームは不穏さというものが軸に、「僕、ところにょりはこういう人間です」っていうのがただ出ているだけということがあって。それこそ『違う冬のぼくら』では、何とか上手く偽装されていたみたいなところがあるんですけど。

……偽装というか、『違う冬のぼくら』では、僕の“光のところにょり”みたいなところを全面に押し出して、その中でどうしてもあふれ出てしまう仄暗い面がちょっとずつ出ちゃっていたよね、という感じでした。でも、『違う星のぼくら』は……、今回はもういいやっていう(笑)

わざわざ隠さなくても、もう良いかなと。最初から全面的に押し出している感じになっていますね。2人プレイだからこそ、仄暗くても受け入れてくれるというのが『違う冬のぼくら』を経た経験としてあるのがひとつですね。前作で結構なものでも受け入れてくれるなっていう、こちらからの信頼があったので、じゃあ「次はこういうのどうですか」という気持ちで作りました。

ということで、ところにょり氏は前作の経験を踏まえて、またあるいは前作のユーザーの反響を受けて、仄暗さを受け入れてくれるだろうとして、本作は“振り切って”作っているようである。上記インタビューの全文は、4月17日公開予定。ところにょり氏の個性がどっぷり出たインタビューであるので、興味のある人はチェックしてほしい。

『違う星のぼくら』は4月25日、PC(Steam)向けに発売予定だ。特別体験版も配信中である。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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