販売元が突然事業再編した『ボウと月夜の碧い花』、コンソール版向けアプデ配信の見通し立たず。開発元が困難な状況を訴える


デベロッパーのSquid Shock Studiosは8月3日、公式Xアカウントを通じて声明を発表。先月発売したアクションゲーム『ボウと月夜の碧い花』について、現在コンソール版向けにアップデートを配信できない状況にあることを明かした。

本作はHumble Gamesが販売を担当しているが、同社は7月24日に事業再編を実施。すべての従業員がレイオフ(一時解雇)されたと報じられており、この影響を受けて本作のコンソール版のサポートに影響が出ているという。

*国内Nintendo Switch/PS5版はマーベラスが販売を担当


『ボウと月夜の碧い花』は、日本の神話や民間伝承をモチーフにした探索型2D和風アクションゲームだ。妖怪たちが暮らす国を舞台に、主人公の妖怪ボウはこの世界の危機を解決すべく冒険する。多様な環境のステージではさまざまな敵やギミックが待ち受けており、ボウが装備する杖やアクションを駆使して進んでいく。空中で敵やオブジェクトを攻撃することで、再度ジャンプやダッシュが可能となるシステムが特徴で、バトルやステージ探索に活躍する。

本作は、2022年に実施されたクラウドファンディングの成功を受けて開発され、今年7月17日にPC(Steam)版が、7月18日にはNintendo Switch/PS5/Xbox Series X|S版がリリース。メディア・ユーザー双方からまずまずの高評価を得る一方で、ゲームバランスの調整不足などの問題が指摘され、開発元Squid Shock Studiosは今後のアップデートでの改善を約束していた。ただ、その直後に販売元Humble Gamesの事業再編が実施された。


Humble Gamesは、『Slay the Spire』や『One Step From Eden』『Unpacking アンパッキング』『SIGNALIS』など、数々の人気インディーゲームの販売を手がけてきたパブリッシャーだ。同社は7月24日、インディーゲーム販売において厳しい経済状況にあるとし、事業再編の実施を報告。これに先立っては、レイオフされたとする元従業員らのSNS投稿が相次ぎ、一部報道によると、親会社の大手メディア企業Ziff Davisによって全従業員が解雇されたという(関連記事)。

この事業再編は、Humble Gamesに作品を預けていたスタジオにとって寝耳に水だった様子。そして、同社の今後の運営は外部企業が担うと伝えられているが、まだ引き継ぎできていないのか、各スタジオとのコミュニケーションに問題が生じているようだ。

本作『ボウと月夜の碧い花』の開発元Squid Shock Studiosは8月3日、Humble Gamesの事業再編直後に、本作を管理するうえで重要なシステムへのアクセスが失われたと報告。これに関して、Humble Gamesからは特に連絡もなかったという。PC(Steam)版については、同スタジオ自らアップデートを配信できるが、コンソール版はそうではなく滞っているとのこと。


一般的に、ゲームを販売するストアの管理や、プラットフォーム側とのコミュニケーションは販売元が担当している。これはSteamにおいても例外ではないが、本作では開発元が管理できる体制がとられていたようだ。本作のPC(Steam)版には、発売後最初のアップデートが7月29日に配信。バランス調整など、優先度の高い問題の一部改善がおこなわれた。

ただコンソール版に関しては、移植やQA(品質管理)についてHumble Gamesと契約を結んでいることもあって、アップデートを配信できる状況にないという。今回開発元は、そうした管理面へのアクセスを復旧させるべく一歩踏み出したとしているが、今のところ明確なスケジュールは出せずにいる模様である。本作について開発元は、問題修正のための小規模なアップデート配信以外にも、さまざまな計画があるとのことで、早急に状況が改善されることが望まれる。

『ボウと月夜の碧い花』は、PC(Steam)/Nintendo Switch/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中だ。なお、開発元Squid Shock Studiosは今回の一件を受けて、クリエイター支援プラットフォームPatreonに自らのページを開設。メンバーシップ登録者には、本作の最新情報や開発への参加などに関する特典が提供される。