AR対応のカード、CPU搭載のフィギュア、さらにはコミックまで。基本無料アクションRPG『Lightseekers』が目指す壮大すぎるプロジェクト

 

アメリカとイギリスに拠点を構えるPlayFusionは、『Lightseekers』を正式発表した。対応プラットフォームはタブレット/モバイル、のちにPCにも対応する。現在は発表にあわせKickstarterでのクラウドファンディングも開始されている。

 

ゲーム本編は無料

『Lightseekers』は見下ろし視点型のアクションRPGだ。舞台となるのは惑星「Tantos」。Tantosには砂漠から火山、森林といったさまざまなロケーションが存在し、プレイヤーは封じられたアーティファクトを探すために各地へ旅に出る。ゲームデザインでは特に戦闘に重きが置かれており、キャラクターごとに膨大な量のアビリティが用意されている。同じエレメントアビリティを使うことによってダメージが増幅していく「コンボシステム」などを用いて立ちはだかる敵を倒していく。また幅広いユーザーが遊べるように「難易度調整システム」が存在し、難易度を高くしてよいお宝を狙うのか、難易度を低く設定し報酬はよくないがダラダラと遊ぶのかといった好みに合った選択できる。

ほかにも、ゲームを遊んでいない状態でも育てているキャラクターが勝手にクエストに出かけたりフレンドのもとへ遊びに行ったりする「アイドルゲームプレイ」や、旅のおともになり戦闘をサポートしてくれる「ペットシステム」など、意欲的な要素が搭載されている。『Lightseekers』はゲーム本編が無料。そのかわり、さまざまなグッズ展開が予定されている。むしろ、グッズこそがコンテンツの中心ともいえるだろう。

『Lightseekers』は、さまざまなアイテムと“接続”していく。コンセプトは「コネクトプレイの未来」。385以上のトレーディングカード、店頭に並ぶもののほかにデジタル版も用意されている7センチのアクションフィギュア、スマホアプリ、そのほかにも広告や動画などと連動しており、今までにない規模でゲーム外のグッズとつながっていくのだという。実際にどのような連動をしているのか見ていこう。

 

カードとフィギュアを通じてゲームとリアルがリンク

カード・フィギュアの二大目玉要素は、ARを通じてゲームとリンクする。タブレットやスマートフォンのARカメラでカードを映せば、カードのキャラクターがゲーム内に出現。現れたキャラクターは「攻撃的」「守備的」「利口」といった「エレメント」がつけられており、一見同じカードでもゲーム内に召喚されれば異なる個性を持つというわけだ。映されたカードが魔法やトラップカードならば、ゲーム内の敵にカードに記されている効果がそのまま与えられるほか、ダンジョンカードを使えばそのダンジョンが世界に現れる。もちろん、ゲーム外でカードを使って他人と対戦を楽しむことも可能だ。

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フィギュア要素の核となるのは「フュージョン・コア」だ。この心臓のようなメダルをフィギュアの背中に挿し込むとキャラクターが喋りだし、さらにゲームに接続するとプレイ中のイベントなどを記憶するようになる。実はフュージョン・コアには、ふたつのCPUと16MBメモリ、バッテリーやスピーカーなどが搭載されており、そのおかげ今までのフィギュア以上に幅広い使い方ができるのだという。ゲームとフィギュアの連動は、デバイスとフュージョン・コアのワイヤレス通信によっておこなわれる。またフィギュアにアクセサリーの「武器」を装着すれば、ゲーム内でその武器と新たなアビリティが使用可能になる。ゲーム内のアビリティアップグレードはこの武器に記録されるようだ。こういった仕様があるおかげで、新しく武器が発売されても、古い武器からゲーム内のアビリティや経験値などを簡単に移すことができるとのこと。

ほかにも「フライトパック」を購入し装着すれば、ゲーム内で発生する空を飛ぶミニゲームがフィギュアを動かすことによってプレイすることができるなど、フィギュアに装備するアクセサリーよって遊び方も拡張される。ちなみにフィギュアの関連製品は日本でも知られるトミー社から発売されるとのこと。これらの商品は単体での発売のほかに、フィギュアと武器、カードとフュージョン・コアなどがセットになったスターターパックの発売が予定されているようだ。

グッズの構想を見ると、レベルファイブを思い起こさせる規模のメディアミックスが予定されているが、現在できているのはテクノロジーのベースだけで、残りの展開にはKickstarterでの支援(pledge)が不可欠とのこと。近年Kickstarterでのクラウドファンディングのゴールは縮小気味にあり、数万ドルを初期ゴールとするゲームスタジオも多いが、本作は20万ドルを目標としている。これだけ大規模なプロジェクトがはたして成功するのか、やや先行きが不安なようにも思えるが、PlayFusionは自身らへの投資を「安全な賭け」と表現し自信を見せている。くわえて、現在すでにKickstarterを通じて9万ドルが集まっており、一定の手応えを感じているようだ。ハードウェア系のプロジェクトは頓挫も少なくないKickstarter。『Lightseekers』は現実とゲームの垣根を越えることができるのだろうか。


国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)