老舗ゲームメーカーAtariが、『SteamWorld』シリーズの開発元Thunderfulを大型出資で“取り込み”へ。異なる強みで欧州展開強化を図る

Atariは7月29日、Thunderful Groupとの間で株式引受契約を締結したと発表した。事実上の買収になるものとみられる。

Atariは7月29日、パブリッシャー/デベロッパーのThunderful Groupとの間で株式引受契約を締結したと発表した。Atariは同グループに対し5000万スウェーデンクローナ(約7億7000万円)を出資し、約82%の株式および議決権を手にする計画とのことで、事実上の買収になるものとみられる。

Atariは1972年創業の老舗ゲームメーカーだ。これまでには、その活動内容やブランドの所有者にはさまざまな変遷があり、現在はフランスを本拠とするAtari SAのもとで運営されている。近年には、Atari VCSなどの新ハードを手がけたほか、往年の名作の続編などをリリースしている。

Thunderful Groupは、スウェーデンに拠点を置くパブリッシャー/デベロッパーだ。『SteamWorld』シリーズの開発元として知られており、また近年はインディーゲームパブリッシャーとしても活動。『Viewfinder』や『ロスト・イン・ランダム – ザ・エターナル・ダイ』『ISLANDERS: New Shores』など多数の作品の販売を手がけている。

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今回の発表に先立ちThunderful Groupは、今年6月にリリースされた『ロスト・イン・ランダム – ザ・エターナル・ダイ』の売り上げが予測を下回ったことなどに触れ、キャッシュフローの改善を目指して事業再編を実施すると報告。開発スタジオおよびパブリッシング部門などで人員削減をおこない、CEOのMartin Walfisz氏も後任が決定し次第退任するとした。

こうした取り組みに基づき、中核事業の継続を可能なものとすべく、同グループはAtariからの出資を受け入れたという。正式には、8月末に開催予定のThunderful Groupの臨時株主総会にて株主の承認を得ることが前提となるが、現在同グループの株式および議決権の29.9%を保有している創業者のBrjánn Sigurgeirsson氏とOwe Bergsten氏は、本取引に賛成することですでに合意しているそうだ。

『ロスト・イン・ランダム – ザ・エターナル・ダイ』


近年Atariは、Digital EclipseやNightdive Studiosといったクラシックゲームの復刻で有名なスタジオを買収しているが、Thunderful Groupはそれらとはややイメージが異なる企業だ。AtariのCEO Wade Rosen氏は今回の出資の背景について、欧州地域における販売・開発能力の拡大を挙げており、事業再編を経てThunderful Groupが成長軌道に戻ることで、Atariのさらなる発展に貢献するはずだとした。具体的な計画については、正式に取引が完了した後に発表されるだろう。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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