Amazonがゲーム動画配信サービスTwitch買収、Googleは独占禁止法を警戒か
本日8月26日、米Amazonは公式サイト上にて、ゲーミング専門の映像配信サービス「Twitch」の買収を発表した。Twitch株主の合意のもと、Amazonは全ての発行済株式を約9億7000万ドル、およそ1000億円で取得する。買収は2014年下半期に完了する見込み。
Twitchはライブ配信サイト「Justin.tv」から派生する形で2011年に誕生している。『Dota 2』や『League of Legends』など、近年成長が目ざましいe-Sportsタイトルのコミュニティが根づいており、わずか発足から3年で月単位でおよそ5000万人前後のユニークビジター数を記録するようになった。ユーザーによるゲーム映像配信だけでなく、多数のゲーム関連企業もE3やgamescomなど各種イベントの公式中継サイトとして利用しており、海外では現在ゲーミング映像配信サイトの分野におけるデファクトスタンダードの地位を築いている。
今回の買収により「Kindle Fire」や「Amazon Fire TV」といったAmazon製品およびオンデマンド配信サービスとTwitchの連携が強化されると予想される。Twitch側もAmazonからの資金注入によるサーバーなどインフラ強化と、広告収入のさらなる相乗効果を見込めるだろう。
Twitchの買収はすでに今年5月から海外メディアを中心に報じられていた。The VergeではMicrosoftなど複数の企業がTwitchの買収に着手していたと伝えており、そのなかでも最有力候補としてYouTubeを所有するGoogleの名が挙げられていた。今年7月にはVentureBeatがGoogleとTwitchは買収契約を締結させたとのニュースもあったが、最終的にTwitchはAmazonを選択した。なおJustin.tvは8月初頭に全サービスをすでに終了している。
うわさされていたGoogleがなぜTwitchの買収に至らなかったのか、米シンクタンクInternational Center for Law and Economicsの専務取締役であるGeoffrey Manne氏がForbesで推測している。それは、自国および諸外国で数多くの独占禁止法問題に直面してきたGoogleは、今回のケースでも入念に独禁法へ対応する必要があったのではないか、というものだ。買収報道があったなかでも、Manne氏はビデオやストリーミング配信で直接の競合関係にあったGoogleとTwitchが一つの企業になるかどうか結末はわからないとみていた。なお同氏はGoogleが単純に"用心深く"なろうとしている可能性があるとも考察している。