80年代アーケードレーシング崇拝『Drift Stage』 3Dモデルビジュアルを黄金期の2D作品風に


海外の3人のインディーデベロッパーが、アーケードレーシングゲーム『Drift Stage』を開発中だ。同作は80年代中期から後期、さらに90年代初期のレーシングゲーム黄金期の作品に影響を受けている。当時のアーケードレーシングをやりこんでいたゲーマーなら、トレイラーを見てなんらかの作品を思いだすだろう。数か月前にティーザートレイラーが公開された『Drift Stage』は、先週末にSteam Greenlightに登録され、ようやく本格始動の様子を見せている。Steam Greenlightは、グリーンライトタイトルの報告がなくなり、さらにキュレーション機能が登場したためか、ここ最近は活気がなかった。にもかかわらず、ユーザーからは170件以上のコメントが付けられており、『Drift Stage』は海外で注目を集めている。

 


3Dグラフィックを2Dスタイルでディメイク

 

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ゲームはシンプルで王道的なアーケードレーシングだ。都市間を結ぶハイウェイから海岸沿いの道路など、80年代から90年代を思わせるお馴染みのレースステージが登場する。車種はBMW M1、Toyota AE86、Lotus Esprit Turboなど。シングルプレイヤーでは、キャリアモードやサーキットレースモード、リーダーボード対応のタイムトライアルモードが搭載されている。マルチプレイヤーは画面分割でのローカル対戦、およびオンラインでのインターネット対戦に対応している。

『デイトナUSA』や『セガラリーチャンピオンシップ』など、1990年代中期の作品を模倣した『The 90’s Arcade Racer』が記憶に新しい。だが同作と比較すると、『Drift Stage』のビジュアルは異質だ。このグラフィックを80年代の8bitや16bit風、あるいは色数を抜いただけだと表現するのは、いささか早計だろう。レトロな雰囲気とサイケデリックな色合いは、奇妙な魅力を放っている。グラフィックを担当しているDelkoDuckことCharles Blanchard氏の独自のアートスタイルと言うほかない。海外メディアKotakuのインタビューによると、この90年代2Dアーケードゲームの外観を取り入れたような3Dモデルの表現手法は、3年前から追求してきたという。そして新作『Drift Stage』で、「3Dグラフィックの90年代2Dディメイク」に成功したと報告している。Charles Blanchard氏がグラフィックデザインを手がけた無料のエアコンバットゲーム『Sky Rogue』では、その片鱗が見られる。

開発には、コード担当のChase Pettit氏と、楽曲担当のHugh Myrone氏も参加している。インタビューに同席したChase Pettit氏は、『Drift Stage』のインスピレーション元は何かと問われ、「鈴木裕」の一言で返答している。鈴木裕氏はここ数年、『シェンムー3』に関する発言で海外のドリー ムキャストファンを沸かせている。鈴木裕氏は、セガでディレクターとして働いていたころ、『シェンムー』よりも前に『スーパーハングオン』や『アウトラン』、『パワードリフト』といった作品を生みだしてきた。ビジュアルは大きく違えど、『The 90’s Arcade Racer』の開発者Pelikan 13と同様に、Chase Pettit氏の心にもセガの黄金期アーケードレーシングの魂が宿っているのである。

動作フレームレートや解像度は明らかにされていないが、公式サイトやSNSを通じて720p/60fpsのトレイラーが公開されている。スピード感あふれるアーケードレーシングが期待できそうだ。

 

 

『Drift Stage』は、2015年1月3日に最新のトレイラーと共に、パブリックアルファに関する情報が公開される予定だ。『The 90’s Arcade Racer』と同様に、Kickstarterでのクラウドファンディング実施も視野に入れており、さらなるディテールの公開が期待される。