新作格ゲー『2XKO』、「コンボが長すぎる」問題が議論を呼び開発者が反応。長いコンボは想定しつつも、“即死コンボ応酬”にはしたくない


現在、2025年の発売に先駆けて「アルファラボ」が実施中であるRiot Gamesによる新作2対2格闘ゲーム『2XKO』。多くのプレイヤーがフィードバックを寄せる中、特に「コンボ時間が長すぎる」ということが繰り返し指摘されており、現在コミュニティで活発なトピックのひとつになっている。

『2XKO』は、『League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)』の世界観を採用する、基本プレイ無料の対戦格闘ゲームだ。リリースは2025年を予定している。本作にはダリウスやエコー、アーリ、ヤスオなどのチャンピオンが参戦。2対2のタッグ制となるデュオプレイが採用され、ソロで切り替えながらプレイすることも、2人のプレイヤーでチームを組み、それぞれのキャラクターを担当してプレイすることもできる。

まず結論から述べると、格闘ゲームをいろいろとさわってきた筆者から見ても、『2XKO』のコンボは確かに長い。本作では通常技から通常技にキャンセルできるルートが豊富でかつ、全体的に受け身不能時間が長めに設定されている。それに加え、あまりシビアな入力を求められることなくコンボを繋げていくことが出来る。コンボの始動も簡単なことが多く、ほとんどの場合弱攻撃から長いコンボに移行することが可能だ。

スペシャル(必殺技)からスーパー(超必殺技)にキャンセルするいわゆる「スパキャン」ルートも豊富で、スーパーからさらに追撃できることもある。タッグシステムの格闘ゲームでは、控えキャラクターによるアシストを絡めたコンボが長くなるのはある程度必然ではあるが、『2XKO』ではキャラ単体レベルでも長い。

アルファラボ初日に投稿されたコンボ


このように基礎コンボレベルにおけるコンボの長さと、全体的な入力の緩さもあり、『2XKO』の対戦は「長いコンボの応酬」になりつつある。攻略が進んだ2D格闘ゲームの対戦が長いコンボの応酬になるのは特に珍しいことではないが、ベータテスト段階ではやや心配になる光景であるのは間違いなく、コミュニティの懸念も理解できるものだ。

しかし「長いコンボはつまらないのか」「コンボゲーは良くないのか」といった疑問は、格闘ゲームというジャンルの歴史において繰り返し議論の対象になってきた話題でもある。コンボの長さの是非については、明確な答えがないからこそ何度も論点として持ち上がる。実際に『2XKO』を発端としてこの「コンボゲー議論」は再燃し、現在格闘ゲームコミュニティでもかなりホットなトピックとなっている。


これを受けて、『2XKO』ゲームディレクターのShaun Rivera氏もXにて反応を示している。なかでもコンボの長さについては、端的に「プレイヤーが画面を見ているだけの時間がとても長くなるような状況・ゲーム性は、本意ではない」と述べている。コンボ時間が長いことについては認識しており、できれば改善したいという方向性ではあるようだ。

また、Rivera氏のポストではいわゆる「10割コンボ」「即死コンボ」についても触れている。現状『2XKO』のコンボダメージは、試合時間を早めるためにも全体的に高めに設定されている。Rivera氏いわく、現状報告されている「10割コンボ」の多くはアーリの後ろアシストにダメージの補正がかかっていないバグと、追撃可能なスーパー、そして3ゲージを使い切るヤスオ(+ダブルダウン/フューリー)の組み合わせが主なものだと開発チームは認識しているようだ。

これらの組み合わせは開発チームの想定内ではあるものの、『2XKO』が究極的に「即死コンボの応酬」というゲーム性にはなってほしくないとRivera氏は述べる。即死コンボの存在自体は許容するとしても、「多くのリソースを注ぎ込むことによってやっと実現する珍しいもの」であるべきとのことだ。

確かに『2XKO』のコンボは長いものの、前例がないレベルでは決してない。過去に平均コンボ時間がさらに長い格闘ゲームはいくらでも存在しているだろう。現行の格闘ゲームタイトルの中では長い方ではあるが、たとえば今年発売された『UNDER NIGHT IN-BIRTH II』なども負けず劣らず長いコンボが特徴的だ。


そんな中でも、『2XKO』のコンボの長さがことさら取り立てられつつあるのは、いくつかの要因が考えられる。タッグゲームやチームゲームでは、複数キャラクター分の体力を削りきらないといけないこともありラウンド制が採用されないことも多いが、『2XKO』は基本的に2本先取のラウンド制となっている。1ラウンドは120秒に設定されているが、あえて高火力に設定したというコンボ火力をもってしてなお試合時間は長く、タイムアップすることもまったく珍しくない。前述したような「長いコンボ」がこういったやや間延びした試合展開に貢献していることは間違いない。その上最大3ラウンド同じ相手と対戦するため同じコンボを何度も受けることになり、実情以上に「コンボゲー」に感じる心理効果が発生しているように思われる。

もちろん、コンボが長くなる理由については、コミュニティレベルで見た攻略スピードの上昇もあるだろう。X(旧Twitter)ではタグ付きで日夜多くのコンボ動画が投稿されている。SNS全盛期の現代においてこういった研究成果は共有財産であり、プレイヤー全体の知識レベル、攻略レベルがあっという間に上昇していく。アルファラボに実装されているキャラクターは6体だ。いくら組み合わせがあるタッグゲームとはいえ、コミュニティの研究速度には凄まじいものがある。

いずれにせよ、『2XKO』のゲームデザインチョイスはふたたび格闘ゲームコミュニティに「コンボゲー議論」を生んでおり、開発チームも状況をしっかり把握している。『2XKO』は2025年リリース予定のゲームであり、今後もベータテストやプレイヤーのフィードバックを通じて大きくゲーム性が変化していく可能性は高いだろう。格闘ゲーム界に鳴り物入りするビッグタイトルが今後どういう方向性に仕上がっていくのか、格闘ゲームプレイヤーに限らず多くのゲーマーが注目している。