数字合体ゲーム『2048』リリース10周年目にしてまさかの大型アップデート到来。開発者が仕事をやめてフルタイムで再開発、なお条件あり
個人ゲーム開発者のGabriele Cirulli氏は10月24日、2014年に公開したオープンソースの数字パズルゲーム『2048』の10周年を祝う大型アップデート版を配信したことを発表した。プラットフォームはWebブラウザ。アップデートされた「Plus」モードをプレイするにはAmazon Prime Gamingへの加入が必要。
『2048』は、Webブラウザでプレイ可能なフリーのパズルゲームだ。4×4の盤面に「2」か「4」のタイルがあるなか、キーボードのカーソルキーやWASDキーで方向を指定すると、存在しているパネルすべてがその方向へまとめて移動する。その際、同じ数字同士がぶつかるとマージされ、2倍の数字を表示するひとつのパネルに変化する。2と2をくっつければひとつの4というタイルになり、4と4をくっつければ8が生成される。
タイル移動のためのキー入力を1ターンとして、1ターン経過するごとに新たなタイルがランダムな空きマスに加わる。このとき、新たに出現するタイルの数字は必ず2か4である。すべてのマスが数字で埋まり、どの方向に動かしてもタイルがマージできなくなった場合はゲームオーバー。マージを繰り返して、「2048」と書かれたタイルを生成するとクリアというルールだ。
ゲームオーバーの例
本作では「2048」タイルを作った後はエンドレスモードに突入し、ハイスコアを競うことになる。「4096」パネルを生成できれば約47000点のスコアになる。2014年4月、筆者が把握していた最高得点は20万点を超えていた。本作の10周年記念アップデート版は、これまでと同じWebページで、左上に表示されている「2048」をクリックすると出てくる項目の中から「Plus」を選択した上で、Amazon Prime Gamingの認証を済ませることでプレイ可能だ。
アップデート版Plusモードにおいては、クラシック版にはなかった「UNDO(1手戻る)」「TELEPORT A TILE(タイルのテレポート)」「SWAP TWO TILES(タイルの入れ替え)」などのボタンが見受けられる。これらの機能は無制限に使えるわけではなく、指定されている数字を持つタイルを作ることで使用回数が1回分回復するという仕組みのようだ。たとえば、「TELEPORT A TILE」機能はニューゲームスタート時点で1回分の使用権が与えられており、それ以上の回数発動したい場合は「256」のパネルを生成する必要がある。
本作はオープンソースのフリーウェアであるため、この10年の間にブラウザ用やモバイル端末用のアプリなどでフォローがさまざまに作られており、マスが5×5のものやパネルの形が六角形のものなどが存在する。そして、それらの中にはUNDOの機能を搭載しているものも多い。今回のアップデートでは、本家とも言える『2048』にもこういった一部フォローゲームが持つ機能が加わった形だ。「今の一手をやり直せばゲームオーバーではなかったかもしれない」や、「このパネルがこちらに配置されていれば違う展開になったかもしれない」というような歯がゆい思いをすることもままあるゲームなので、そんな痒いところに手が届く新機能の実装だろう。
本作のデベロッパーであるGabriele Cirulli氏は当時19歳であった2014年、5日間でこのゲームを完成させた。2014年3月10日にWebサイトHacker Newsに『2048』に関するスレッドが立つと、ユーザーはすぐさまその魅力に取り憑かれ欧米を中心にスコアアタックやタイムアタックなどが盛んに行われた。このスレッドを立てたのはGabriele氏本人ではなかったのだが、余りの盛況ぶりに同氏はスレッドに「降臨」し、ユーザーらと交流している。
その当時の書き込みによれば、このゲームは元々『1048』というiTunesアプリと、別の『2048』という名のゲーム(現在はアクセス不可)から着想を得て開発されたとのこと。実はこれらのゲームは『Threes』という、さらに別の数字マージゲームから着想を得たもののようだ。同氏は2014年の『2048』スレッドにて、「『Threes』は知らなかったが、自分が作った『2048』は、『Threes』から続くクローンゲームの連鎖の最後尾に当たるものだろう」と述べている。
また、今回のアップデートに際して同氏はHacker Newsに自らスレッドを立てて、10周年記念アップデートを決めてからの2年弱を振り返っている。2023年の初頭に本作を古く感じ始めたことで、新しいバージョンの開発を決めたとのこと。
昨年10月には仕事をやめ、以後はフルタイムでアップデートに向けた開発に取り組んだそうだ。最初のバージョンを5日で作ったのに対し、新バージョンには丸1年費やしていることになる。スレッドでは、10周年を祝うコメントが溢れ、本作にまつわる思い出話に花が咲いている。「8周年や16周年を祝うべき」や、「8+16年後である2048年に1年間丸々『2048』を祝うことができる。作者がイースターエッグを実装する時間はまだある」などの書き込みが見られる。同氏は今後も本作を改善し続けることを表明しており、そのためのアイデアやフィードバックを求めているとのこと。
『2048』はブラウザ向けに無料で公開中。