「11月のゲーム機の売上、米国では“過去30年間で最低レベル”だった」との調査報告。英国でも昨年からがっつり減少、Switch 2は売れても全体では落ち込む
市場調査会社のデータに基づき、米国および英国でゲーム機の販売台数が落ち込んでいることが報告されている。

市場調査会社NielsenIQのデータに基づき、英国における2025年11月の家庭用ゲーム機の売上が前年同月比で落ち込んでいることが伝えられた。とはいえ、今年発売されたNintendo Switch 2(以下、Switch 2)を含む任天堂ハードの売上は前年同月比で大きく増加を見せたようだ。なお同タイミングで米国でのゲーム販売台数が「11月としては約30年ぶりの低水準」となっていることが報告されている。
まず英国における今年11月のゲームハードの販売データを報告したのは、海外メディアThe Game Business編集長のChristopher Dring氏だ。NielsenIQのデータをもとに、前年同月比とあわせて情報を共有している。なお今年・前年のいずれもブラックフライデー前のデータとのことだ。
Dring氏の当初の投稿(記事執筆時点で削除済み)では、任天堂ハード(Switch 2とSwitchの合算)が前年同月比で約19%減、PS5が約57%減、Xboxが約78%減とされていた。英国にてハードの売上が大きく落ち込んだこと、特に任天堂は今年Switch 2を発売したにもかかわらず前年よりもハードの売上が減少したことを示すデータとして注目を集めることになった。
一方でその後Dring氏は投稿を削除しつつ、当初の投稿に二重にカウントしてしまったデータが含まれていたことを明らかにし、数値を訂正。修正後のデータでは、英国11月における任天堂ハードは前年同月比で41%増となっている。一方、PS5は29%減、Xboxは51%減とのこと。それぞれ当初示されていた数値から大きく変化しており、特に任天堂ハードはやはりSwitch 2発売によってか、前年同月から大きく売上が伸びていたことが明らかとなった。
とはいえ全体としては、前年同月比で約17%減少していたとのこと。つまり、任天堂ハードの売上は増加した一方で、市場全体としては昨年と比べると売上が縮小したこともうかがえる。
売上が減少した原因は不明ながら、PS5については昨年11月にPS5 Proが発売。昨年および今年11月のデータにはPS5/PS5 Proの両方の販売台数が含まれているとみられ、初動売上の差が昨年と今年の売上台数の違いとして表れた可能性はあるだろう。またEU地域などでは今年4月にデジタル・エディションのPS5の値上げも実施されている(PlayStation.Blog)。
Xboxについては今年10月に小型ゲーミングPC「ROG Xbox Ally」「ROG Xbox Ally X」が発売されたばかりながら、両デバイスの売上台数は上述したXboxの売上データには含まれていないようだ。あわせて同月にはXbox Game Passの値上げも実施されたほか、そもそもPS5およびXbox Series X|Sについてはハードとしてのライフサイクルの後半に差し掛かっているとみられ、前年同月比から売上が減少した要因はさまざま考えられる。

なお同時期には、市場調査会社Circanaのゲーム業界アナリストであるMat Piscatella氏が米国市場における今年11月のハードの売上データを報告。同氏によれば同月の販売台数は160万台であり、これは「11月としては約30年ぶりの低水準」であることがグラフから読み取れる。
米国では2025年8月にすべてのモデルのPS5の値上げが実施(PlayStation.Blog)。Xboxについては今年の5月に世界全体での値上げがおこなわれ、米国では10月にさらなる値上げも実施されていた。またゲームハードに限らず米国では近年物価が上昇し続けており、そうした背景もあってか上述したグラフではハードの価格が上昇傾向にある一方で、販売台数が減少傾向にあることもうかがえる。
そうした報告を見るに、地域によってハードの価格や値上げ状況も異なり、そのほかさまざまな要因が重なって地域ごとに傾向が異なることもうかがえるだろう。ちなみに国内の店頭・通販販売分の家庭用ゲーム市場についてはファミ通が毎年にわたって「ファミ通」マーケティング速報として報告してきた。ハードの売上は2022年に前年比+3.4%、2023年に前年比+27.5%と成長を続けてきたが、2024年には前年比-29.2%の落ち込みを見せていた。Switch 2が発売された今年、どのような推移を見せるのかも注目される。
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