人気ローグライトスロットゲーム『幸運の大家様』Android版、Googleから「ギャンブルゲーム」だと指摘されレーティング変更しないとストアから削除すると通告。ギャンブル要素はないのに
デベロッパーのTrampolineTalesは1月2日、デッキ構築型スロットゲーム『幸運の大家様(Luck be a Landlord)』のAndroid版について、Google Playから取り下げられる可能性があると発表した。同ストアを運営するGoogleから警告を受けたとのこと。
本作は、スロットマシンでお金を稼ぎ、アパートの大家に家賃を支払うゲームだ。スロットマシンのリールにはさまざまなシンボル(絵柄)が配置されており、種類により一定金額を得られるほか、シナジー要素など多種多様な効果を持つシンボルも存在。そしてスロットマシンを回すなかで、新たなシンボルを追加しながら、家賃を支払えるだけのお金を期日までに稼ぐことを目指す。
『幸運の大家様』は、2021年1月にPC(Steam)にて早期アクセス配信が開始され、2023年1月に正式リリース。Steamのユーザーレビューにて、本稿執筆時点で約9100件のうち93%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得するなど高い評価を得た(関連記事)。また、人気ローグライクポーカーゲーム『Balatro』の開発者が、大きな影響を受けた作品であると公言したことでも注目された。
本作はその後モバイル向けの移植がおこなわれ、2023年7月にiOS/Android版が配信開始。しかし今年1月1日になって、Android版が配信されているGoogle Playの運営元Googleから、本作はGoogle Playのポリシーに準拠していないとの通知が開発者の元に届いたという。海外時間1月8日までに対応しなければ、本作はストアから削除されると警告されている。
Googleからの通知によると、本作にはギャンブルの表現が含まれているが、対象年齢を表すレーティング表記において、そのことが示されていないとのこと。また、子供が利用できるアプリのコンテンツ内容は、子供向けに相応しいものである必要があるとも指摘されている。
つまりGoogleは、本作はギャンブルに関連するアプリであるとして、レーティングを修正するよう求めてきたわけだ。本作のAndroid版は、たとえば北米ではESRB: E10+(10歳以上対象)のレーティングを取得し配信されていた。
なお、本作はスロットマシンを使ってお金を稼ぐゲームではあるが、現実のお金を賭けることはない。ただ、たとえば欧州のレーティング機関PEGIでは、ギャンブルをシミュレートした要素であっても、それを含むゲームは自動的に18歳以上対象にレーティングする厳しい対応をおこなっている。ほかの多くのレーティング機関でも、対象年齢にかかわらず、ギャンブル表現が含まれていると注意表記が付けられる。
実際に『幸運の大家様』のゲームプレイが、ギャンブルをシミュレートしたものと言えるかどうかは微妙なところ。スロットを回して柄をあわせる要素はあるものの、そうした要素は本作に限ったものではない。少なくとも開発元TrampolineTalesは、Googleの判断に不満を示している。しかし同スタジオが過去に異議を申し立てた際には、本作のスクリーンショットが送られてきて「これはギャンブルです」と伝えられたという。実は本作のAndroid版は、同じ理由ですでに中東などの12か国で配信停止されている。一時は韓国でも配信停止された。
こうした経緯から今回開発元は諦めて、本作には「ギャンブル表現が含まれている」と認めたうえで、レーティングの再申請をおこなったそうだ。本作のAndroid版が、全世界で配信停止されることを阻止するためとのこと。
これを受けてか、現在Google Playの本作のストアページには、18歳以上対象を示すレーティング表記と、「シミュレートされたギャンブル」という注意表記が掲載されている。もっとも、この対応にて問題が解決されたのかどうかは現時点では不明。そのため開発元は、本作がGoogle Playから取り下げられる可能性があると述べたのだろう。対応期限とされた海外時間1月8日以降に、結果が判明するものと思われる。
ちなみに、ゲーム内のギャンブル表現とレーティングの関係においては、先述した『Balatro』もトラブルに巻き込まれている。同作のコンソール版は、もともと全年齢対象にレーティングされリリースされたものの、一部地域にて突如18歳以上対象に変更。これを受けて日本などで一時配信停止された(関連記事)。
結果的に同作においては、一部レーティング機関では全年齢対象作品として認められ、たとえばPEGIではギャンブル表現が含まれるとして18歳以上対象にレーティングされる歪な格好に。開発者のLocalThunk氏は、『EA SPORTS FC』シリーズなどにように、少額課金要素やルートボックス、リアルなギャンブル要素を導入すれば、PEGIでのレーティングは全年齢対象に引き下げられるだろうかと皮肉を述べて注目された。