広告でよく見るゲーム『俺の甲子園』運営、「勝手にX上で広告が配信されている」と困惑。Googleが原因か


『俺の甲子園』開発・運営元であるストンピィは8月2日、「X上に広告が勝手に配信されている」という旨の報告をした。そのコメントがSNS上で話題を呼んでいるようだ。どうやら広告が配信されたルートに原因がありそうだ。

『俺の甲子園』は、ブラウザ上でプレイする野球シミュレーションゲームだ。プレイヤーは高校野球部の監督となり、練習を重ね選手を育成。チームを編成し、練習試合などを重ねて甲子園を中心とした公式戦の優勝を目指す。基本プレイ無料で、ガチャシステムなどが導入されている。ブラウザベースの長寿タイトルながら、テキストベースで育成や試合を楽しめるゲームとして長きにわたり支持を集めている。


甲子園シーズン真っ只中ということもあってか、『俺の甲子園』はX上での広告も散見される。しかしこの広告は、運営元としては不本意なようだ。ストンピィは、「X上で『俺の甲子園』の広告が配信され非表示にもできない」というクレームにそれとなく反応。同社は『俺の甲子園』のX広告は数年前に停止しているといい、意図したものではないという。またXのサポートチームに連絡したいが、窓口も見つけられない状況であると説明している。

「よく広告で見かけるゲーム」「出稿していないにもかかわらず広告配信される」「窓口さえ見つけられない」ということもあってか、このお知らせは注目を集めているわけだ。しかしながら、これは別の場所にも原因がありそうだ。

というのも、『俺の甲子園』のX広告は、Google Ads(あるいは、Display & Video 360。以下Google Adsと統合)を介して配信されてようである。昨年から今年にかけてXはGoogleと連携し、Google広告をX上で配信するシステムを導入している。ようするに、Google広告をX上に表示することができるわけだ。

Google Adsを経由したX広告は、実はX上で見分けることが可能。Xに直接出稿されている広告は、リポストやライクをすることが可能。また広告主アカウントまでたどることもできる。一方で、Google Adsを経由したX広告は、リポストやライクをすることができず、広告アカウントの発信元へ飛ぶこともできない。X上のインタラクションは全般的にできないわけだ。できることは「この広告に興味がない」とするのみである。

X直接の広告

Google Ads経由広告。リポストなどを選べない


編集部で『俺の甲子園』のX広告を粘り強く探したところ、広告を発見し『俺の甲子園』のX広告がGoogle Ads経由であることを確認できた。ストンピィが「X上で広告を出していない」としているにもかかわらずX上でバンバン広告が出るのは、Google側がX上で配信していることに由来するだろう。

Google Ads経由の広告の「この広告が出る理由」部分を見ると、上のような説明がされる。ようするに、Google経由で配信されていますよ、という説明である。


Digifulによると、Google AdsをX上に配信するかどうかは、出稿時のオプションとして選択することができるという。ただし、「拡張広告枠モード」を選択した場合は、基本的には広告時の設定をデフォルト寄りに進めるとX広告も含まれる模様。「拡張広告枠モード」を選んだ際には、広告主が意図的にXを外すアクションをしなければ、Google AdsにX広告が含まれるのだろう。

Web広告については、プラットフォーマーによる自動広告配信の出力先が多彩になっている。「特定のプラットフォームに自動配信にて出稿したが、より単価の安い別プラットフォームに配信される」ということは少なくない。今回のGoogle Ads経由の広告がXで配信されるというのは、最たる例である。

一方で、広告出稿主が意図しないプラットフォームに出稿をしているとなれば、広告主としては困惑するのも理解できる。もちろん、こうした他プラットフォームの広告配信は、広告設定において除外できることがほとんど。とはいえ、広告の設定はかなり細かくかつ多岐にわたるので細かくチェックするのはやや大変。おすすめやデフォルトで配信しがちで、そうなると今回のようなケースになるのだろう。


いずれにせよ、ストンピィ側がクレームに対応するならば、Google Adsの広告配信からXを外すという選択になりそうだ。そもそもとして、Google AdsのX上の広告はリポストやブロックができず、フィルタリングできないといった点に課題を抱えており、それが『俺の甲子園』のX上広告への不満に寄せられたと考えられる。Xにそのまま出稿するよりもGoogle Ads経由のほうが“押し付け力が強い”広告になるわけだが、X側がこうした点を懸念としているかどうかも、気になるところである。