ゲームクリエイターのRafael Cruz氏は6月2日、音声ナビゲーション猫ファンタジーFPS『Guiding Star』をPC（itch.io）向けに公開した。無料で遊べるウェブブラウザ版と、任意の金額を支払いダウンロード可能なName your own price方式の2種類によるリリースとなっている。また本作は目が見えなかったり、視界に見えづらさを抱えたりする人が支障なくゲームプレイを楽しめるよう意図した「Blind Accessible Game（目が見えない人へのアクセシビリティを保障するゲーム）」だと説明されている。
『Guiding Star』は、不思議な力をもつ少女を救う治療薬を作るため、猫と協力しながらさまざまなキノコを集めていくファンタジーFPSだ。昼夜を司る力を秘めた少女がある日、未知のキノコを食べて病気になったことで太陽が消え、世界は大きな混乱に包まれた。魔法使いであるプレイヤーは少女が住む村の人々からの依頼を受け、嗅覚に優れた飼い猫のStarとともに事態の解決へ向けて動き出す。
作中ではそれぞれのエリアごとに、指定された数のキノコを収集することが求められる。洞窟や森の中など、広さや環境の異なるマップを探索してキノコをすべて集め終わると次のエリアに進める仕組みだ。道中ではエネミーとなるキノコモンスターも登場し、携えたスティックから魔法攻撃を放ってプレイヤーのライフゲージが尽きないよう倒していく必要もある。キノコモンスターは近接攻撃だけでなく遠距離攻撃を繰り出してくる個体もいるため、エンカウントして動き出した場合は即座に始末するのがよいだろう。
また本作では、ガイドおよびサポート役となるStarの存在も重要だ。Starは集めるべきキノコやエリアごとに用意された出口の場所へのナビゲートをおこない、ゲームプレイを補助する役割を担う。特定のコマンドを入力することでStarを先に向かわせ、プレイヤーは視覚と聴覚の両面からヒントが得られる仕様となっている。
視覚については画面内に表示されるレーダーのアイコンから、見失ってしまった場合もStarの位置の判別が可能。聴覚においてはキノコを発見した際にStarが甲高い効果音を鳴らすため、そのサウンドの発生源に向かって進んでいくとよい。またゴロゴロとした鳴き声によっても、Starの現在地をうかがい知れる。ヘッドフォンやイヤホンなどを使用してプレイに臨むと、その声がより聞き取りやすくなるだろう。Starはエネミーのそばに行くと怖がり逃げ戻ってくるため、キノコモンスターを適度に倒して進むべきルートの確保も必要となる。なおStarが近くにいる状態で撫で続けると、ライフゲージを回復させることも可能だ。
上記のようなStarの活用を中心に、本作はBlind Accessibleなゲームデザインを意図して開発されている。機能やオプションの面でもボイス音声によるナレーションがあらゆる場面で設けられていたり、色の識別のしやすさに応じたビジュアルの表示パターンが変更できたりと、さまざまな配慮が見て取れる。またウェブブラウザ版とダウンロード版では、ナレーション音声も異なるパターンが用意されているようだ。視覚に不自由さを抱えた人のみならず、身体の運動機能に障害をもつ人ともテストプレイを重ねたうえで制作が進められたといい、オートエイムや入力方法のカスタム、マウスオンリーでの操作などが設定で調整可能となっている。
一方で、本稿執筆時点での公開ステータスは「In development（開発中）」と伝えられており、今後さらなるブラッシュアップが計画されているようだ。ストアページではいくつかのバグが残った状態でのリリースとなった旨も記されていて、筆者も実際にプレイしてみたところStarの挙動に関しては特定の場面でフリーズしてしまう現象も見られた。もしバグを発見した場合は、Discordサーバーを通じて共有してほしいとも呼びかけられている。本作のディレクションを率いるRafael氏以外にも、複数のメンバーにより開発されている共同プロジェクトとのことなので、改善の要望がある方は意見を送ってみるのもよいだろう。
『Guiding Star』は、PC（itch.io）向けに公開中だ。
