とあるインディーゲーム開発者、手がけたゲームへの辛辣な意見にあえて耳を傾け改善を決意。シンプルなキャラ・背景から、手間暇かかった「犬の死にゲー」に刷新

 

インディー開発者のSam Garcia氏は5月28日、自身が手がけたアクションゲーム『BUMBI』について、大幅に改善すると表明した。当初リリースしたバージョンに対してネガティブなコメントが多数寄せられ、彼らの言葉を聞き入れたのだという。

Garcia氏は、ゲーム開発関連をコンテンツとするYouTuberで、ゲーム開発歴は7年ほど。同氏は、今年3月に「30日間で究極のアクションゲームを作って売る」という企画の動画を公開し、そこで制作されたのが『BUMBI』だった。


『BUMBI』は、高難易度の2Dアクションゲームだ。ステージには多数の即死トラップが配置され、プレイヤーは壁ジャンプなどを含むジャンプアクションやステージのギミックを駆使して突破していく。開発コンセプトとしては、Sam Garcia氏は『SpeedRunners』や『Fancy Pants Adventures』『Super Meat Boy』といったスピードランゲームが好みであるとし、それらの作品の要素をまとめて詰め込むことが挙げられた。ゲームエンジンにはGameMakerが採用されたが、今回初めて触ったとのこと。同エンジンの開発元が動画のスポンサーについてくれたことが背景にあるようだ。

そうして30日間で開発された『BUMBI』は、Garcia氏の作品として初めて有料(4.99ドル・約790円)で販売されることに。するとプレイヤーから反響が寄せられ、気に入ったとする意見も多かったものの、特に本作のアートスタイルに対してはネガティブなコメントが多数投じられたという。同氏は、投稿者らのことをHater(悪口を言う人)と呼んでいるが、実際言葉の悪い辛辣なコメントが少なくなかったようだ。

Garcia氏は、本作はたった30日間で制作した作品であり、またプログラマーである自身はそもそも絵があまり上手くないとして、そうしたネガティブなコメントに悩まされたものの、改善させることを決意する。ストアページにて最初に目にされるアートワークは重要であり、本作をたくさん売るためには改善が必要だと判断したとのこと。

当初のバージョン
改善されたバージョン

主な改善点のひとつは、主人公のキャラクターだ。当初のデザインは、丸で描いた頭部に足をくっつけただけのかなりシンプルなキャラクターだった。Garcia氏はこれはこれで気に入っていたものの、個性が欠けているとして改善に着手。とはいっても先述のとおり同氏は絵の才能がなく、またキャラクターをアニメーションさせるスキルも心もとない。そこで、Redditにてアニメーターのコラボ相手を探すことにしたそうだ。

そうして見つかったアニメーターからは、いくつかのデザイン候補が届けられ、Garcia氏はその中から犬のキャラクターを選択。同氏は以前犬を飼っていたことがあり、本作のタイトル『BUMBI』もその犬にちなんだ言葉だったという。その後アニメーターとやり取りしながら、ゲーム内のさまざまな状況における犬のアニメーションを制作してもらい、調整を重ねたうえで実装することとなった。

このほかにステージデザインも改善。以前は背景にチェック柄の壁紙を貼っているだけだったところ、無料のアセットも活用した多重スクロールの背景に仕上げ、また足場などに植物のイラストを配置し、正しいルートにプレイヤーを導く役割を持たせたという。こうした改善は、新たなアセットを用意して差し替えただけで済むわけではなく、特にキャラクターに関連する部分では、以前のコードを大幅に修正することが求められたそうだ。


本作のようなスタイルのゲームでは、凝ったビジュアルでなくても高評価を得ているものも多いが、多数のゲームで溢れるストアにてまず手に取ってもらううえでは、良い見た目であるに越したことはないだろう。結果的にGarcia氏は、30日間で作品を完成させるはずが、改善などにさらに2か月以上かけることに。ゲーム内容は以前のまま、ポップで鮮やかなステージをかわいい犬が駆けるアクションゲームに生まれ変わった。今回、フィードバックをもとに作品を改善させるゲーム開発の一端が披露された格好で、その仕上がりには同氏も満足している様子。寄せられたコメントでも好評のようだ。

『BUMBI』は、現在PC(itch.io)にて当初のデザインのものがベータ版として販売中。そして改善が施されたバージョンが、PC(Steam)向けに今後配信される予定だ。配信日は未定である。