無料ファンタジー推理ゲーム『ステータス確認探偵』が「システムとシナリオが衝撃的」として好評集める。RPG風に“容疑者のステータスを覗き見”して事件解決
個人のゲーム制作サークル風切羽は5月17日、アドベンチャーゲーム『ステータス確認探偵』を配信開始した。対応プラットフォームはPC(BOOTH)。価格は無料。本作は、RPG的な世界観の中で探偵になった主人公が、スキルを駆使して事件を解決するミステリ作品だ。本作は現在SNS上にて広く共有され、好評も寄せられている。
『ステータス確認探偵』は、容疑者たちのステータスを確認しながら事件を解決へと導くミステリアドベンチャーゲームだ。主人公のハイゼは、オムランドと呼ばれる世界で冒険者としての成功を夢見るも、嫌気が差して諦める。その数日後、職業安定所で紹介された探偵の職業に就いたハイゼは、冒険者時代の相棒である倉野がバーテンダーとして働く酒場を訪れる。すると、そこで突如殺人事件に巻き込まれ、新人探偵として最初の事件に挑むことになる。
本作は、テキストを読み進めながら、事件の謎を解くアドベンチャーゲームである。事件関係者に話を聞いたり、現場を調べたりといった一般的な推理アドベンチャーゲームの捜査をおこなうことになる。一方、本作の特徴的な要素のひとつとして、本作の世界観を活かした捜査が可能なことが挙げられる。
本作の舞台であるオムランドは、前述したとおり、冒険者という職業が成り立つ世界だ。人間以外にケモ族やドラゴン族といった異種族も存在する、れっきとしたファンタジー世界である。また、人々の間では職業と、それぞれの職業が使用できるスキルの存在が当たり前になっており、スキルを使用して職務を果たすことが日常となっているようだ。
そんな本作の世界で探偵となった主人公のハイゼは、現場の調査や聞き込みのほか、探偵のスキルである「他人のステータスを見る」能力を駆使して捜査を進めていくことになる。ステータスは、初めはレベルやHP、称号といった部分しか見ることができないものの、他人の秘密を暴くことで探偵としてのランクがアップし、さらに詳細な能力パラメータなどを参照することが可能になっていく。
ハイゼの能力が示すように、本作はRPGで登場するような要素が多く含まれている。たとえば、「HPの減り具合」だったり「キャラのもちもの」であったり、RPGでよくある要素が推理に大きく関わってくる。いわゆるメタ的な要素を推理に取り入れたシナリオとなっている。
そして、物語が進むと、事件の謎を推理するパートに突入。事件の謎は、選択肢や穴埋めなどで回答するかたちとなる。回答できなければ物語が進まないものの、謎解きでは「■」と表示されるリソースを使用してヒントをもらうことが可能。■はゲームスタート時、難易度ノーマルで2個、イージーで5個、難易度ハードでは0個からのスタートである。■はゲーム内にて事件とは別で用意されている謎解きをクリアすることで、さらに追加で手に入るようになっている。
本作についてSNS上では、大きな話題に。たとえばゲームインフルエンサーのロッズ氏が本作をX上にて取り上げた投稿は、本稿執筆時点で2500以上のシェア数と7500以上のいいねを獲得している。反響として、ミステリ的要素を含め好意的な評価も数多く寄せられているようだ。ステータスを見るというシステムを用いた推理要素が、新感覚で面白いとの言及が見られる。また、作品の性質上、ネタバレを避ける感想投稿がほとんどだ。気になる方は自分で触れてみるのがよいだろう。
なお、筆者も本作をクリアまでプレイしてみた。所感として、ステータスを見るスキルやRPG的なメタ要素を盛り込んだ物語は、世界観のおかげで納得感のあるものとなっていた。また、キャラクターの発言を抽出できるフィルターを搭載したログ機能をはじめとして、UI周りも使いやすく設計されており、推理に集中させようという姿勢も好印象である。
本作を開発した個人サークル風切羽は、BOOTHにて『真夏の探偵教室』も無料公開中。こちらは、テーブルカード推理ゲームと銘打たれており、カードを使って事件現場の再現などをおこない、推理を進めていくゲームだ。『ステータス確認探偵』とは違った推理体験が楽しめる作品となっている。また、開発者はいくつかの別名義にて活動中。「銘宮」名義にて漫画を執筆し、「榊林銘」名義ではミステリ小説作家として活動している。榊林銘氏としては、東京創元社より「あと十五秒で死ぬ」、光文社より「毒入り火刑法廷」を刊行している。ゲームをプレイして気になった人は、同氏の著作にも触れてみるといいだろう。
『ステータス確認探偵』は、PC(BOOTH)向けに無料配信中。