イライラ岩登りアクション『A Difficult Game About Climbing』Steamにてプレイヤー数のぼり調子。壺おじ『Getting Over it with Bennett Foddy』から影響受ける作品

 

インディー開発者のPontypants氏は3月7日、物理岩登りゲーム『A Difficult Game About Climbing』を配信した。対応プラットフォームはPC(Steam)。本作は、さっそく多くのプレイヤーを集め好評を得ている。

『A Difficult Game About Climbing』は、腰に布切れ1枚巻いた半裸の男が、岩山を登っていく物理アクションゲームだ。“壺おじ”こと『Getting Over it with Bennett Foddy』から影響を受けて制作された作品で、同作と同じく高難易度のゲームプレイが特徴。本作では、主人公の男の左右の手だけを使って、上へ上へと登っていくことになる。

ステージには岩山がそびえ立っており、プレイヤーは男の右腕を伸ばして岩肌を掴み、次に左腕を伸ばしてさらに上の岩肌を掴むといったかたちで進んでいく。滑って掴むことができない岩も存在するため、登るルートをよく考えなければならない。もし掴み損ねると、真っ逆さまに落下してしまう。

ステージを登っていくなかでは、やがて岩以外のオブジェクトも登場。看板や建築物などの固定されたオブジェクトのほか、自動で動いているものや、プレイヤーが掴むことによって物理法則に基づき動くものもある。また道中では、普通に腕を伸ばしただけでは次に掴むべきオブジェクトに届かない場面があり、男の身体を揺らして勢いをつけて飛ぶことに迫られる。登場するオブジェクトには、こうしたアクションと組み合わせて使うものも存在する。


本作は、PC(Steam)向けに3月7日に配信開始。本稿執筆時点で、ユーザーレビューには約800件が投稿されており、その内の88%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。レビューでは、もどかしく難易度の高い作品ではあるものの、つい何度も挑戦したくなるゲームプレイや、ステージを進むに従ってさらに難易度が上がっていくペース配分などが評価されている。

不評レビューでは、その難易度の高さを理不尽に感じたり、一部物理演算の不自然な要素に不満を述べたりといったユーザーがみられる。このほか、本作の最低動作環境にマウス30個やモニタ20台などを追加すべきだとするレビューもある。イライラが爆発してマウスなどを破壊してしまうというジョークだろう。

一方、本作の同時接続プレイヤー数に目を移すと、これまでのピーク時には約1600人を記録(SteamDB)。似たジャンルの作品の中では、『Getting Over it with Bennett Foddy』には及ばないまでも、なかなか好調な数字だといえる。また本作は、実況配信での人気も高いようだ。

本作を手がけたPontypants氏は、自身のゲーム開発をコンテンツとして発信しているYouTuberで、本作は2作目となる。先述したように『Getting Over it with Bennett Foddy』から影響を受け、約1年かけて制作したという。Pontypants氏は同作の大ファンで、このジャンルに続く作品が少ないことに不満を感じ、自分で作ってしまうことにしたそうだ。

上に掲載した動画では、当初は両手だけでなく両足も使うゲームプレイを計画していたことや、操作方法の試行錯誤、ゲームエンジンの変更などの開発過程が紹介されている。興味深いところでは、主人公の男は実はものすごく腕が長いという事実が明かされている(12分53秒辺りから)。男の身体を岩肌から少し離す必要があり、そのため手が接地していなかったが、影が不自然に落ちることから、解決策として手を伸ばして接地させたそうだ。プレイヤーの目線からは気づかないこうしたトリックも、ゲーム開発ならではの工夫といえるかもしれない。


『A Difficult Game About Climbing』は、PC(Steam)向けに配信中だ。