わくわくゲームズは2月19日、Xにて『ファミレスを享受せよ』の配信における注意事項を告知した。その内容が、注目あるいは共感を集めている。
『ファミレスを享受せよ』は、奇妙なファミレスへ迷い込んだモノたちが永い時間を過ごす、アドベンチャーゲームである。主人公は、ある夜に近所のファミレス「ムーンパレス」を訪れた人物だ。主人公は、そのファミレスが永遠のファミリーレストランであることを知り、同ファミレスで時を過ごすほかの人々と交流をしていく。そうして、ムーンパレスがなんなのかを解き明かすのだ。
本作は短編アドベンチャーゲームということもあり、ストーリーが非常に重要。一癖も二癖もある物語をジェットコースターのように楽しむのが、本作の醍醐味といえるだろう。しかしながら、そうした核心を“バラす”者もいるようだ。『ファミレスを享受せよ』のSteam版およびNintendo Switch版のパブリッシャーを務めるわくわくゲームズは、配信者たちに次の点を守ってほしいとしている。具体的には「サムネイルでストーリー後半部分のネタバレをしない」「ギャラリーモードを公開してネタバレをしない」というふたつだ。
ストーリー後半部分については、言葉通り、ストーリーの後半部分をサムネイルにしないということだろう。また本作のイラストギャラリーは設定資料集ともいえるつくりになっており、ここを抜き出すと核心的なネタバレになりやすい。本作は物語部分は複雑であるが、ロケーションによってはサムネイルで展開がわかってしまう可能性もあるし、ギャラリーに至ってはどこを切り出してもネタバレになりうる。そうしたことを踏まえて、この2点を注意したのだろう。
実際に『ファミレスを享受せよ』の実況や配信に、そうしたネタバレがあるのかというと、YouTubeを見る限り、ほとんどのユーザーはそうした“常識”を守っている。しかしサムネイルについては、ちらほらとネタバレ風味なものを選んでいるユーザーがいる印象だ。
実はサムネイルについては、ゲームメーカー各社のガイドラインでは、明確に言及されることは少ない。大手ゲーム会社各社のガイドラインを見ると「ネタバレする場合はそれで他ユーザーが気を害さないように注意するか、あるいはネタバレがあることを注記して」といった対応がほとんど。ただしそもそもとしてこうしたガイドラインは、広い範囲の規範やお約束を決めるものであり、個別の行動を咎める方針はないだろう。そもそも「サムネイルでネタバレしない」というのは、大枠で「ネタバレに配慮する」一環として自ずと守られるべきことといえる。
にもかかわらず、現在配信プラットフォームではサムネイルでどどんとストーリーのネタバレをする実況者や配信者が後を絶たない。というか筆者は被害を受けがちである。明確に個別に禁止されていないので気にしていないのか、うっかりしてやりがちなのか、数字史上主義ゆえなのか。理由はともかく、サムネイルバレは筆者の経験上でも結構起こりがちだ。そういう意味では、実際にサムネイルまで言及する必要性が判断された点で、わくわくゲームズの注意喚起は興味深いものである。どのような影響を及ぼすか不明だが、サムネイルバレが今後減っていくのを祈るばかりである。
『ファミレスを享受せよ』は、PC(Steam)/Nintendo Switchで配信中。itch.ioにてブラウザ版も公開中である。