大人気ドワーフ系ゲーム公式「Steamにドワーフタグ作って」とValveにお願い。いちど却下されるも、やたらと熱心だからかサプライズで追加される


Dwarf Fortress』のパブリッシャーであるKitfox Gamesと『Deep Rock Galactic』の開発元であるGhost Ship Gamesが、Steamに「ドワーフ(Dwarf)」タグの追加を要求。Steam側は一度は“却下”していたようだが、結果的に「ドワーフ」タグは実装されることになった。海外メディアのGamesRadar+が伝えている。

『Dwarf Fortress』

Steamストアページの「タグ」とは、作品のゲームジャンルやゲーム内容のテーマなどを表す機能で、開発者やユーザーコミュニティによって定義されたタグが付けられる。たとえば、「アクション」「RPG」などのゲームジャンルや、「2D」「3D」といったグラフィックの違い、「マルチプレイヤー」や「コントローラー」に対応するのかどうか、また「かわいい」「笑える」「変態」といったゲーム内の雰囲気を表すものもある。実際にはこれら以外にも膨大な種類のタグが存在し、Steamストアではそうしたタグからゲームを検索し、好みのスタイルの作品を探すことができるわけだ。

そして今回「ドワーフ」タグを要求したKitfox GamesとGhost Ship Gamesは、ドワーフが登場する作品を手がけるパブリッシャー・デベロッパーである。Kitfox Gamesがパブリッシングする『Dwarf Fortress』は、ドワーフたちの文明を築くシミュレーションゲームだ。発売初日に16万本を売り上げ、本稿執筆時点のSteamユーザーレビューでは約2万3000件中95%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得している。そしてGhost Ship Gamesが開発する『Deep Rock Galactic』はドワーフであるプレイヤーたちが協力して採掘を行うFPSだ。本稿執筆時点のSteamユーザーレビューで約21万7000件のレビューを集め、97%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得している。いずれもドワーフが登場する人気作なわけだ。

『Deep Rock Galactic』


「ドワーフ」タグがほしい

そんなKitfox GamesとGhost Ship Gamesは、1月にSteamを運営しているValveに「ドワーフ」タグの追加を要求していた。事の発端となったのは、Steamアワードでは「愛の為せる業賞」を『Deep Rock Galactic』が取るべきだったとの意見をKitfox Gamesがポストしたこと。「愛の為せる業賞」とは、長期的なアップデートによりファンから愛される作品が対象となる賞だ。

つづいてKitfox Gamesは、同作がアワードを逃した一因と考えているのかSteamに「ドワーフ」タグがない点をGhost Ship Gamesに向けて問題提起。ドワーフタグがあれば、同作や『Dwarf Fortress』の人気がもっと高まるといった考えかもしれない。追従してGhost Ship Gamesも「コミュニティを結集して解決すべき問題」とするポストを行っており、Valveにドワーフタグを要求する運びになったようだ。


いちどは却下も、まさかの展開

そして今回、Kitfox GamesとGhost Ship Gamesは、ドワーフタグ追加についてValveからの返答があったと発表した。Kitfox Gamesがポストした声明によると、当初Valveからの返答は端的に言えば却下(No)であったという。ただしValveは“条件を満たせば”ドワーフタグ追加を認める内容だったそうで、「Steamユーザーがタグとして使い始めた場合に限り追加可能」との返答を受けたとされている。


またKitfox GamesのポストでValve側の説明として伝えられるところによると、Valve側としては「ドワーフをタグではない」と見ていたという。Steam上にエルフやケンタウロス、魔法使いのタグがないのと同様に、ドワーフもタグではないとの見解がValveにはあったようだ。しかしKitfox GamesとGhost Ship Gamesは声明にて、ほかの架空の生物よりもドワーフが格好良く、熱心なファン層がいる(cooler and have much more dedicated fanbase)との主張を述べて反論。Steamへのドワーフタグ追加を諦めない構えを見せた。

そして声明では、Steamでドワーフのゲームを見かけた際に、タグを追加してほしいとユーザーに協力を呼びかけ。続くポストではユーザーが参加しやすいように、Steamにある約200作品のドワーフ系ゲームのリストを紹介しており、その本気度がうかがえた。

こうした声明の後、Steamにてドワーフではなく「エルフ(Elf)」のタグが登場。Kitfox Gamesはなぜか求められたドワーフタグに先がけて登場したエルフタグに驚きを示していた。一方でその後Steam公式Xアカウントは「ボタンを間違えちゃった!」としつつ、Steamに晴れてドワーフタグが実装されたことを報告。Kitfox GamesとGhost Ship Gamesの念願がかなって、Steam上にドワーフタグが登場したかたちだ。タグの専用ページでは、「人気タイトル」として『Dwarf Fortress』と『Deep Rock Galactic』がバッチリ紹介されているほか、ドワーフが登場するさまざまな作品を確認可能となっている。


販売元・開発元が自身の作品に登場する架空種族をアピールすべく熱心に呼びかけた結果、Steamに登場することになったドワーフタグ。ファンタジー作品のドワーフが好きなユーザーにとって嬉しいタグとなりそうだ。また今回ついでに「うっかり」追加されたエルフタグを含め、今後Steam上ではユーザー人気に応じてさまざまな“異種族”タグが登場するかもしれない。

『Dwarf Fortress』は、PC(Steam/itch.io)にて発売中。『Deep Rock Galactic』は、PC(Steam)/PS4/PS5/海外Xbox One/Xbox Series X|Sで発売中だ。