『原神』にて、海灯祭のイベント配布が「少ない」として中国ユーザーの不満爆発。しかし量は昨年とあまり変わらない


miHoYoは1月19日、『原神』のゲーム内イベント「海灯祭」に関する情報を発表した。これを受けて中国では、同イベントで得られる配布物の量を巡って、多くのユーザーから不満が投げかけられているようだ。本作公式SNSアカウントのフォロー解除運動も発生し、中国版TikTokの本作公式アカウントではフォロワー数が100万人以上減少している。


『原神』は、HoYoverseブランドより展開中のオープンワールドアクションRPGだ。本作の舞台は、7つの国や元素が存在するテイワット。主人公は、あるきっかけからテイワットを訪れた旅人だ。旅人は、生き別れの兄/妹を探して旅へ出発。相棒のパイモンと共に、テイワット各地での冒険を繰り広げている。プレイヤーは、最大4人のキャラクターを編成して、フィールド上の探索やバトルなどを実施。キャラクターには、レベル/武器/聖遺物/天賦(スキル)といった育成要素が用意されており、周回によって素材や聖遺物などを獲得していく。

本作では中国の年中行事である旧正月に合わせて、ゲーム内イベント「海灯祭」が毎年実施される。「紡がれた運命」(ガチャチケット)や星4キャラが配布されるなど、通常よりも豪華な報酬が得られるイベントだ。今年の内容に関しては1月19日の公式生放送にて発表。例年と報酬の量は同じく、ログインボーナスやイベントをこなした報酬として、ガチャチケット13個やゲーム内アイテムを獲得できることが明かされた。


この発表を受けて、主に中国では「海灯祭」での配布物の量に対して、ユーザーからの不満が爆発している様子だ。SNS上では公式アカウントのフォロー解除運動がおこなわれ、抖音(中国版TikTok)の本作公式アカウントでは急激なフォロワー数減少が発生した。本作の情報を伝える非公式XアカウントGenshinUpdateの1月22日時点の投稿を見ると、抖音では約930万人から約870万人へとフォロワー数が減少していたとわかる。なおフォロワー数は今でも減少し続けており、本稿執筆時点の抖音公式アカウントでは約840万人となっている。つまり短期間に約100万人もフォロワー数が減っているわけだ。

また中国の人気動画共有サイトbilibiliの本作ストアページでは、低評価による荒らし行為や不満を述べる投稿なども多数おこなわれている。SNSでのユーザー意見を見てみると、「海灯祭」中にゲーム内メールで配布される報酬が特に注目されている様子だ。公式によると、同イベントでは「海灯祭のお礼」としてメールにてガチャチケットが3個配布される。これが「少ない」として中国のユーザーの不満が寄せられているようだ。

とはいえ前述したように、今年の「海灯祭」で配られる報酬や配布物は従来の量とほとんど変化していない。たとえば「海灯祭のお礼」では、例年イベント期間中に5日間メールが送信され、ガチャチケット計3個や各種ゲーム内アイテムを得ることができた。今年の「海灯祭のお礼」に関する詳細な情報はガチャチケットを除くとまだ公式から公開されてはいないものの、1月19日の公式生放送などでは昨年とほぼ同様の情報が語られていた。今年の「海灯祭」で配られる報酬も大きな変化はしないと考えられる。


にもかかわらず、今年に限ってここまでの騒ぎが起こった原因としては、他作品との比較が考えられるだろう。本作開発元のmiHoYoは『原神』以外にもゲームを展開しており、その内の『崩壊:スターレイル』との報酬格差に中国のユーザーは不満を感じているようだ。たとえば、同作では『原神』よりも高頻度で10連分のガチャチケットが配布される。また最近では、同作の最高レア度である星5キャラの配布もおこなわれた。同じ会社による運営タイトルながらも、『崩壊:スターレイル』では『原神』よりゲーム内報酬が多く配布される傾向がみられるわけだ。

また『崩壊:スターレイル』ではユーザーからの意見が汲み取られ、既存要素の改善が多数おこなわれている。スタミナ上限の拡張やデイリークエストの緩和などの調整が実施されてきた。なおこれらの機能は『原神』でもユーザーから望まれているものの調整には至っていない。『原神』においてもさまざまな調整や便利機能実装がおこなわれてきたものの、『崩壊:スターレイル』にだけ実装されている機能も存在している。

以上のように、各所に見られる運営型ゲームとしての遊びやすさの差などによって、これまで一部ユーザーは不満をため込んできたのかもしれない。こうした差が「海灯祭」の報酬内容というかたちで改めて示されたことで、中国内でのSNSアカウントのフォロワー数100万人減という大きな騒ぎに発展した可能性はある。


『原神』と『崩壊:スターレイル』はゲームデザインが大きく異なるため、運営方針や配布されるゲーム内アイテムの量が変化するのは当然といえる。また『崩壊:スターレイル』は2023年4月にリリースされた後発作品だ。『原神』と比較して“太っ腹”な配布やフィードバックをより反映するアップデートは、新規プレイヤーの獲得や既存プレイヤーの定着を狙いとしているだろう。

そして先述のとおり、『原神』の「海灯祭」での配布物は今年が特別少ないというわけでもない。過去の配布を参照すると、今年配布予定のものとVer1.3の「海灯祭」で配布された内容にはあまり差異はみられない。そのためふたつの作品の運営方針が比べられたゆえに中国での『原神』ユーザーによる公式批判運動が発生したとみられ、人気タイトルを同時に運営する際のバランスの難しさも垣間見える。