砂漠オープンワールドADV『Sable』開発者、パフォーマンス改善パッチを配信しないと表明。1年以上取り組んだものの断念、新作開発もあり手が回らない

 

デベロッパーのShedworksが手がけたオープンワールドアドベンチャーゲーム『Sable』。本作については、パフォーマンス面での問題が一部プレイヤーから報告されているが、開発者がパッチ配信での修正をおこなわないと発言し注目を集めている。海外メディアPlayStation Lifestyleなどが報じている。


『Sable』は、広大な砂漠の世界を舞台にするオープンワールドアドベンチャーゲームだ。主人公のセーブルは、一族の通過儀礼として旅に出ることとなり、ホバーバイクに乗って宇宙船の残骸や古代の遺物が眠る各地を巡る。旅先ではほかの遊牧民などに出会うことがあり、クエストをもらって探索やパズル要素などをこなし、そして報酬を得ては、さらに厳しい土地への道を切り開いていくこととなる。

本作は2021年9月にPC/Xbox One/Xbox Series X|S向けに発売され、2022年11月にPS5版も配信開始。メディアレビューでは、バトル要素はなく、自分なりのペースで自由に旅ができる点や、メビウスことジャン・ジロー氏の作風を彷彿とさせるビジュアルで描かれる独特の世界観などが好評。Steamのユーザーレビューでも、本稿執筆時点で約3700件が投稿され、その内の87%が好評とする「非常に好評」ステータスとなっている。


一方で、レビューではパフォーマンス面の問題やバグについて言及されることも少なくない。プレイヤーからも、プレイ中のカクツキやフレームレートの低下などが、プラットフォームを問わず報告されている。また最近には、この12月のPlayStation Plus加入者向けフリープレイタイトルとして本作のPS5版が提供開始されたことで、この問題にふたたび注目が集まることとなった。

そうしたなか、あるユーザーがPS5版でのパフォーマンス面の問題について、パッチ配信にて修正する予定があるのかどうかを開発者に質問。これに対し本作のクリエイティブディレクターGregorios Kythreotis氏は、「残念ながら予定はない」と回答した。

修正をおこなわない理由としてKythreotis氏は、開発元Shedworksは非常に小規模なチームであることと、1年以上にわたってパフォーマンスの改善に取り組んできたものの、新作開発に移行する必要が出てきたことを説明。また、外部企業に対応を依頼したこともあるが、高額な料金を提示されたとも述べており、そちらも断念したようだ。


本作の開発元Shedworksは、Kythreotis氏とテクニカルディレクターのDaniel Fineberg氏の2人だけのスタジオだ。Kythreotis氏のコメントからは、本作のパフォーマンスの改善には難航していたことがうかがえ、スタジオ運営上、これ以上この問題に付きっきりでいるわけにはいかないという判断があったのかもしれない。

とはいえ、問題を訴えていたユーザー側としては、納得のいく説明ではなかったようだ。いわば「作品に問題があっても自分都合で対応しないスタジオ」と映ったのか、Kythreotis氏の説明に対しては、同スタジオの今後の作品を買う人はもういないだろうなどと厳しいコメントが多く寄せられている。


開発元としても、やむを得ない事情があったのかもしれない。ただ、Kythreotis氏のコメントにはやや説明不足感も否めず、結果的にユーザーの不満を生んでしまったことは、小規模スタジオならではのコミュニケーションの拙さが出てしまったともいえそうだ。なお、Kythreotis氏はその後この件については言及していない。

『Sable』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store/GOG.com)/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに配信中。また来年1月1日までは、PS Plus加入者向けフリープレイタイトルとして提供されている。