売上不振とされる魔法FPS『アヴェウムの騎士団』開発元ボス、同時期発売の大作が多すぎたと嘆く。『アーマード・コア6』『Starfield』など強すぎ

EA Originalsの魔法FPS『アヴェウムの騎士団』の開発元Ascendant StudiosのCEOは11月19日、海外メディアとのインタビューに答え、本作の売り上げ不振の背景などについて語った。

魔法FPS『アヴェウムの騎士団』の開発元Ascendant StudiosのCEO Bret Robbins氏は11月19日、海外メディアWindows Centralとのインタビューに答え、本作の売り上げ不振の背景などについて語った。同氏にとって、今年は前例のない状況だったと振り返っている。

本作は、バトルメイジの精鋭部隊に所属する主人公となり、深淵の危機に瀕した世界を救うため戦う作品だ。多数用意された呪文や魔法装備を駆使した、一人称視点でのハイスピードなバトルが特徴である。


『アヴェウムの騎士団』は、EAのEA Originalsレーベルを販売元としてPC/PS5/Xbox Series X|S向けに今年8月22日に発売。Crystal DynamicsやEA、Sledgehammer Gamesを渡り歩き、数々のAAAタイトルを手がけてきたBret Robbins氏のスタジオが手がける作品とあって一定の注目を集めた。一方で発売後はユーザー・メディア評価が伸び悩み、売り上げ不振も伝えられた。そして9月には、開発元Ascendant Studiosではスタッフの45%がレイオフされるに至った(関連記事)。

今回のインタビューにてRobbins氏は、大作がひしめくなかで本作がリリースされたことが売り上げに影響したかを問われ、「100%」と回答。同氏の経験として、このような年は見たことがないと述べている。『アヴェウムの騎士団』がリリースされた8月には、『バルダーズ・ゲート3』や『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』などが発売。また7月には『ピクミン4』や『Remnant II』、さらに9月には『Starfield』や『Mortal Kombat 1』『Payday 3』『EA SPORTS FC 24』などが発売されている。2023年は例年より豊作であるとし議論されることが多いなか、この時期にも注目作のリリースが相次いだ。

『アヴェウムの騎士団』のような新規IPにおいては、ただでさえ耳目を集めることが難しいなか、この発売スケジュールは通常の10倍は厳しいものだったとRobbins氏は語る。それでも、開発元には発売時期をずらす権限はなく、困難なローンチになることを承知で開発を進めるほかなかったそうだ。なお、販売元のEAとの関係は良好であったとも述べている。


インタビューでは、「もしXbox Game PassやPlayStation Plusといったサブスクリプションサービス向けに提供されていれば、本作の助けになったか」という質問も。これに対しRobbins氏は、より多くの人にプレイしてもらえることは良いことだとしつつ、「正直、分からない」とコメント。一方で、両サービスでの提供に向けて現在マイクロソフトやSIEと交渉を進めていることを明らかにした。まだ詳細は決まっていないが、いずれ提供されることは確実だろうとのこと。

なお、本作に向けては11月17日に最新アップデートが配信開始。New Game+モードや、より高難度のGrand Magnusモード、新たなエンドゲーム要素などが追加された。また、バランス調整やバグ修正も実施。このほか、各プラットフォームにて無料体験版も配信開始。本作に触れてもらうきっかけを用意したかたちだろう。

『アヴェウムの騎士団』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/EA App)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中だ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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