GoogleがAndroidアプリ個人開発者向けに「14日間連続参加テスターを20人集めよ」との正式リリース条件を追加へ。個人開発者らから懸念の声

 

Googleは11月9日、個人デベロッパーがGoogle Play向けアプリを製品化する際に、事前のテスト要件を設けることを発表した。この要件について個人デベロッパーからは、アプリ公開までに要するプロセスの煩雑化を懸念する声があがっている。

今回Android開発者向けの公式ブログにて発表されたのは、Google Playにて製品版アプリを公開、あるいはアプリの事前登録を開始する際に「定められたテスト要件を満たすことを義務付ける」というポリシー改定だ。この義務付けの対象は、11月13日以降にGoogle Play Console(開発者向けサービス)アカウントを作成した個人デベロッパーとされている。

義務付けられるテスト要件の具体的な内容は「20 人以上のテスターが 14 日以上連続でオプトイン(参加許諾)してのクローズド テスト実施」だ。また、本番環境(製品版公開の前段階)へのアクセス時には、実施されたクローズド テストに関する情報提供の名目で、デベロッパーにはいくつか質問への回答も求められるという。発表にあわせて公開されたヘルプページでは、義務となるクローズドテストのほか「任意で推奨」となる内部/オープンテスト要件、テスト実施の手引きが記載されている。

*Google Play Console ヘルプページより


個人デベロッパーらに懸念されているのは、製品版公開に必須となるクローズドテスト要件の“厳しさ”だ。ヘルプページのよくある質問には、テスターのカウント基準が解説されており、“カウントを集める”という記述に沿って解釈するのであればクローズドテストは「特定期間に開催し、20人以上が同時にテストを遂行する」という必要は無さそうだ。つまり、テスト期間を長く取り、じっくりテスターを集めてもよいとも解釈でき、その場合はハードルが下がるだろう。

しかしながら、いずれにせよ公開前のアプリを連続14日以上テストしてくれるユーザー(テスター)を、20人以上募らなければならない条件は確かだろう。個人あるいは小規模デベロッパーにとってこの条件は、依然として難儀するプロセスといえるだろう。なお、前述した本番環境アクセス前のデベロッパーに対する質問として「1.アプリのテスターの採用は大変でしたか?(後略)」という項目が設けられており、Google Play Console側でもこのテスト要件が“大変”であることをあらかじめ想定していることがうかがえる。

なお、このポリシー改定およびテストの義務づけは、Google Play上で配信されるAndroidアプリの品質向上が目的であるとされており、こうしたデベロッパー側に要件を課す動きは以前より進められているようだ。

本発表に先立つ7月12日には、Google Play の信頼性と透明性を高めることを目的として、Google Play Console(開発者向けサービス)要件の更新・追加が発表。それまでに既存(2023 年 8 月 31 日以前に登録済み)のデベロッパーアカウントについても、更新された要件に準拠させるかたちで、2024年4月1日から登録情報再確認が求められた。

指定された再確認手続きを完了しなかったデベロッパーアカウントは、Google Play上からデベロッパープロフィールとアプリが削除されるとのことだった。したがって、休止状態となっていた個人デベロッパーがこの再確認手続きを怠った場合、既に公開していたアプリはGoogle Play上から一度削除されてしまう。再登録/同じアプリの再公開を試みる際には、今回義務付けられたテスト要件を満たす必要が生じる可能性があるだろう。

今回のポリシー改定は、Google Play上でのアプリ配信を考えている個人デベロッパーに、少なくない影響を与えるものと予想される。Google側が目的としているプラットフォーム/アプリの品質向上に効果は見られるだろうか。また、デベロッパーたちの反響/対応についても、今後その動向に注目したい。


雑食ゲーマー、好きな言葉は「Random loot」と「Permadeath」です。