無料レトロ風・冒険RPG『Moonring』好評スタート。『Fable』シリーズ開発者が個人で手がける、『Ultima』など想い出作品へのラブレター

 

デベロッパーFluttermindは9月29日、『Moonring』を配信開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、価格は無料。本作は現在Steamのユーザーレビューにて「非常に好評」のステータスを獲得し、好調な滑り出しを見せている。

『Moonring』は、レトロスタイルが特徴的なRPGだ。本作の舞台となるのは、500年前に闇に包まれたCalderaと呼ばれる世界。そこでは5つの月とともに、奇妙な神々が現れたという。神々は、人々に超常的な力を授けることと引き換えに「献身」を求めている。プレイヤーは、父が残した遺言に導かれ、この世界と神々の存在に迫り、自らの運命を決める冒険へと繰り出していくこととなる。Steamストア上の説明によると、本作は80年代初期に開発された古典的RPG『Ultima』シリーズのオマージュ作品として開発されたという。

 


本作のゲームプレイは、2D見下ろし視点のオープンワールドで、さまざまな街やダンジョンを巡りながら進行していく。NPCとの会話イベントにおいては、プレイヤ―自らがキーワードを打ち込むことで情報を聞き出すという『Ultima』シリーズ同様のシステムが取り入れられている。一つの画面に、プレイヤーのいるフィールドと、ステータス/テキストログが並んだレイアウトも、同作を意識したものだろう。また、画面全体の背景は黒を基本として統一され、スプライト描画を模したグラフィック、ブラウン管のにじみを彷彿とさせる走査線エフェクトなど、開発者のこだわりが随所にあらわれている。その一方で、ゲームの設計自体は現代的な解釈のもと開発されたとされる。前述した会話イベントでは自動入力の補助があるなど、現代のプレイヤーでも遊びやすい工夫がなされているようだ。

そんな本作は、本稿執筆時点のSteamストアレビューにて、約150件中97%の好評を集め「非常に好評」のステータスを獲得している。ユーザーから寄せられているレビューの中では、本作が醸し出す古典的作品へのノスタルジアや、レトロなゲームシステムへの評価が寄せられている。また、本作が無料で配信されていることに対しての驚きの声や、「お金を払って開発者をサポートしたい」といった投稿も多数見うけられる。


本作を手がけるのは、Dene Carter氏個人が運営するデベロッパーFluttermind。同氏はLionhead Studiosにて、オープンワールドRPG『Fable』シリーズを手がけたゲーム開発者だ。Steamストア上の説明によれば、本作は同氏個人により開発された作品であり、同氏の愛した1980年代のRPGに向けたラブレター的な意味が込められた作品だという。

そんな同氏は、YouTubeチャンネルSplattercatgamingにて投稿された、本作の実況プレイ動画のコメント欄に登場。本作のテイストを深く汲み取った投稿者に対して、感謝のコメントを投稿している。さらに同氏は、コメント欄でなぜ本作が無料なのかとの質問にも回答。同氏は新型コロナウイルスの影響もあり、貧困やストレスに苦しむ人もいる状況に言及。本作で売上を得るよりも、親切をしたかったと回答している。また、同氏が投稿したコメントのなかで、本作は今後も継続して無料で配信されていくことも明言されている。

『Moonring』は、PC(Steam)向けに無料で配信中だ。