セガの公式XアカウントSEGA Foreverは日本時間8月22日、同SNSにて長い間放棄されていたソニック・ザ・ヘッジホッグ像を発見、その修復完了を知らせる投稿をおこなった。このソニック・ザ・ヘッジホッグ（以下、ソニック）像は、かつてイギリスに存在した屋内テーマパーク「SegaWorld London」に飾られていたもの。新品同様の姿となったソニック像は、8月23日よりドイツで開催されるイベントgamescom 2023内のセガブースにて展示されるようだ。
「SegaWorld London」は1996年9月、イギリス・ロンドンにて開園した屋内テーマパークだ。同テーマパークはLondon Trocaderoと呼ばれる複合エンターテインメント施設内に設置され、その面積はおよそ1万平方メートル。当時においては世界最大の屋内テーマパークとして登場し、セガの手がけた先進的アミューズメントマシンを楽しめる施設であった。施設内にはマスコットキャラクターとしてソニックのイメージが多用されていた。
今回発表されたソニック像の所在については、海外ファンコミュニティにて2019年頃から話題になっていた。後にこの発見の立役者の一人となるYouTuber、Badnik MechanicことDave Luty氏は、2019年7月13日に投稿した動画にて、SegaWorld Londonの歴史を語った。そのなかで、同施設を象徴したもっとも印象的なオブジェとしてこのソニック像を挙げていたのだ。
動画内の同氏は続けて、同施設の閉園後にそのオブジェは行方不明となっていることに言及。当時確認されていた数少ない手がかりとして、同オブジェの制作を手がけた会社で勤めていたという人物の証言を紹介した。その内容は「オブジェは閉園後に自社（制作会社）に引き取られて、社内のどこかに保管されていた気がする」というものだった。
それからほどなくして2019年7月23日、同氏はSegaWorld Londonのソニック像の行方が見つかったとする続報の動画を投稿。発見報告として共有された写真には、オフィス内と思しき場所で書類に埋もれソニック像の一部分が映りこんでいた。同氏が紹介していた先述の証言が、紛れもない事実だったことが明らかとなったのだ。
当時この所在を突き止めた人物はXユーザーのted（@ted90909）氏。同氏によればソニック像はロンドンを拠点とする設計・デザイン会社PROUNの社内に眠っていたとのこと。発見後から今回の発表にいたるまでの間、ファンによる同社への問い合わせが殺到することを懸念して、詳細な情報については一切を秘匿していたという。その後、関係者らの手によって無事保護され、全貌が確認された直後ホコリにまみれたソニック像の写真は、Sega of AmericaのシニアグローバルコミュニティマネージャーDanny Russell（@caffeinedreamer）氏のポストにて紹介されている。
ちなみにLuty氏は2019年2月6日に、日本の三重県伊賀市に存在するソニック像に関する動画も投稿していた。スノーボードに乗ったこのソニック像は、当時色褪せた状態で森林の中に佇んでおり、地元住民にとっても不思議な存在とされていた。このソニック像は、Jタウンネットがおこなった調査・インタビューによれば、かつて日本の大阪・門真市にあった「セガワールド 門真」を所有していた人物、小寺右二氏が同施設の解体時に引き取っていたものだという（Jタウンネット）。こうして引き取られたのち、同氏の所有する別荘入り口に目印として設置されていたというわけだ。
このソニック像はその後、親族らの手によって再塗装・修復され、新品を思わせる鮮やかな姿を取り戻したようだ。地元情報サイトが報じている（伊賀タウン情報ユー）。このソニック像は、本稿執筆時点においてもGoogleMap上で三重県の“文化的ランドマーク”として登録されている。
話を本筋に戻して、今回SEGA Foreverより報告されたソニック像は、発見後に造形チームの手によって修復されることとなった。損壊していたとみえる片腕には新たに配線がおこなわれている様子もうかがえ、修復が完了したソニック像はその指先で地球儀を回している。素晴らしい仕上がりといえるだろう。公式アカウントの投稿以降に続々と続いた関係者らのポストは、いずれも今回おこなわれた報告に対する喜びがうかがえる内容となっている。一連の発見・修復に携わったメンバーらにとっても、このソニック像は特別な意味をもっていたのだろう。
このソニック・ザ・ヘッジホッグ像は、8月23日より開催されるイベントgamescomのセガブースにて展示予定。現地に足を運ぶ予定のある人は、同ブースにて実物を見てくるのもいいだろう。日本から見に行くにはだいぶ遠そうである。
