Tango Gameworksが手がけた『Ghostwire: Tokyo』にてディレクターを務めた木村憲司氏は8月20日、本作の舞台となった東京の街の制作背景についてSNS上でコメント。既存の東京の3Dデータなどは活用せず、実際に街を歩くなどして作り上げたことを明らかにし、本作にあらためて注目が集まっている。
『Ghostwire: Tokyo』は、謎の超常現象により人々が消失した、現代の東京を舞台にするアクションアドベンチャーゲームだ。プレイヤーは復讐者となった霊的な存在と手を組み、妖怪や亡霊が彷徨う街を探索。超常の元素を操る能力を駆使して戦い、大規模人体消失の裏に潜む真実に迫る。本作はPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5向けに2022年3月に発売され、高い評価を獲得。今年3月には、PC(Microsoft Store)/Xbox Series X|S版もリリースされた。
本作のマップでは渋谷を中心とした東京の街並みが表現され、スクランブル交差点や東京タワー、あるいはSHIBUYA109や谷中銀座をオマージュしたような場所も存在。またそうした目立つランドマークだけでなく、何気ない風景においても日本の街らしさを感じることができるリアルさが話題となり、なかには実際の街と比較検証するユーザーも現れた。
そんな本作の街についてあるユーザーが、“不動産の知識がある人”が制作していそうであるとSNS上に投稿。示されたスクリーンショットでは、寂れた住宅が並ぶなかにある空き地が写されており、同ユーザーは側にある建築群のせいで接道できず、再建築不可になった土地ではないだろうかと指摘した。また開発において、東京都の3Dデータなどを使用したのだろうかとも述べている。
「建築基準法で定められた接道義務を満たせず、建て替えができなかったために放置されている」、空き地の描写をそうした表現として考えると理にかなっていることから、不動産の知識がある人が本作の開発に携わっていたのではと想像させることになったのだろう。都会の住宅街マップに廃車やゴミが放棄された空き地を配置するというのは、何か理由がない限り、普通はあまりやらなさそうなことではある。
また、実在の街の3Dデータなどを活用して開発されていたならば、そうした一見不自然ながら意味のある空き地が生まれることも考えられる。同ユーザーがどのような3Dデータを意図していたのかは不明だが、たとえば国土交通省は「Project PLATEAU」を通じて、東京23区を含む3D都市モデルのオープンデータを公開しており、商用利用が可能だ。
ただ、本作のディレクター木村憲司氏によると、そうした公開データは利用していないとのこと。開発においては、実際に街を歩いて撮った写真や、調べた資料から作り上げたという。一方で東京タワーに関しては、公式に全面協力してもらったそうだ。東京タワーの形状などのイメージを利用する場合は許諾を得る必要があり、そのなかで協力を得られることになったのだろう。
本作のリードエンバイロンメンタルデザイナー陣田拓哉氏はかつて国内メディアIGN Japanとのインタビューのなかで、本作では東京の特定の地域そのものを再現した場所はそれほど多くないとし、東京の街のそれぞれの要素を上手く混ぜていると語っている。また同インタビュー記事には、ロケハン時に撮影したという写真の数々も紹介。既存のデータを利用するのではなく、まさに実際に街を歩いて見た風景を参考に、スタッフの手によって本作のマップが仕上げられていったようだ。
陣田氏によると、街に存在するあらゆるオブジェクトに関しても、スタッフが手作業で配置していったとのこと。木村氏は、「我々は日本人として日本の景色を見て育ってきたので、適当な配置はちょっと許されないという気持ち」があったと振り返る。そうしたこだわりによって、本作の東京のマップが完成したのだろう。今回の木村氏の投稿には多くの注目が集まることとなった。
『Ghostwire: Tokyo』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中。PS PlusのゲームカタログおよびXbox/PC Game Pass向けにも提供されている。
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