デベロッパーのCardboard Computerは8月18日、『Kentucky Route Zero』の新大型アップデートとなる“ポストモダン”アップデートを配信開始した。本作はPC(Steam)/Nintendo Switch/PS4/Xbox One向けに配信中。また、同日にはアップデート内容が実装された最新版である『Kentucky Route Zero: TV version』がPS5/Xbox Series X|S向けに配信開始されている。
『Kentucky Route Zero』は、全5幕と5つの幕間劇から構成されたテキストアドベンチャーゲーム。年老いた配達員・コンウェイは届け先のわからない荷物を運ぶため、謎めいたハイウェイ「ルートゼロ」を目指すこととなった。トラックとともに寂れたケンタッキー州を旅しながら、人と、場所との出会いを重ねていく。本作では行き先へ向かうための道路パートと、各ロケーションでの探索パートが用意されている。道路パートでは手に入れた情報を確認しながら、マップ上で目的地に向かって移動する。あるいは、寄り道をするのも一興だろう。
目的地に到達したら、トラックから降りて辺りを探索できる。コンウェイは行く先々でさまざまな人と出会って、会話し、旅のひと時を共有する。その際にダイアログの選択肢は頻繁に現れ、選択によってさまざまな反応を得ることができる。選んだ選択肢によって、物語の展開も変化していく。本作のダイアログ選択肢ではコンウェイのセリフだけでなく、ほかのキャラクターのセリフを選択する場合もある。いつの間にか操作するキャラクターが変わっているという、一風変わったゲーム体験が楽しめる。
本日配信された“ポストモダン”アップデートでは、UIの変更や対応言語の追加などが実装された。注目したいのは、公式日本語訳の刷新だろう。『Kentucky Route Zero』はテキストアドベンチャーであり、印象的な文章はその魅力のひとつだ。しかし、アップデート前の公式日本語訳は特に後半の章になるにつれて機械翻訳のような印象も受ける文章となっており、ゲームの魅力を日本語ユーザーに伝えるのに難儀。翻訳クオリティを問題視するプレイヤーの声もしばしば見られた。また本作のゲームプレイは基本的に文字情報中心のため、翻訳の質によってはゲームの進行を妨げてしまう。
今回のアップデートでは「既存の翻訳品質の改善」も実施されたといい、日本語もその対象。実装された新日本語訳により、翻訳の質の向上が望めるだろう。新日本語訳はTsuchiya Ayumi氏が担当したとのこと。同氏が手がけていた、日本語訳クオリティ向上を目的とした有志翻訳がベースとなっているようだ。今回実装された翻訳含む内容の一部は、Netflixから配信中の本作iOS/Android版では一足先に実装されていたようだ。今回のアップデートは、追ってPCとコンソール版の日本語訳が刷新されたかたちとなる。
今回のアップデートでは、対応プラットフォームでのタッチ操作性の向上も言及されている。タッチ操作についてはホットドッグでのプレイを想定しており、実際スマートフォン版で本作操作方法の説明を確認すると、ホットドッグでのプレイを想定した説明文が出てくる。公式のSteam投稿によると、“100%のホットドッグ互換性”が保証されているという。ただ、指でのプレイでも問題ないだろう。シュールレアリスム的雰囲気が魅力的な『Kentucky Route Zero』を、これを機にプレイしてみてはいかがだろうか。
『Kentucky Route Zero』は、PC(Steam)/Nintendo Switch/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに配信中。NetflixではiOS/Android版も配信中だ。またアップデートにともない、Steamでは8月25日まで本作が70%オフの744円となるセールが実施されている。