Nintendo Switchが、アメリカで誘拐された少女の保護に貢献。決め手はニンテンドーアカウントのオンライン活動

 

アメリカ・ヴァージニア州で2022年8月に発生した14歳少女の誘拐事件において、犯人特定および被害者の保護にNintendo Switchが大きく寄与したという。アメリカ・アリゾナ州の報道局ABC15 Arizonaが報じている。

この事件の詳細は14歳少女が、住所であるヴァージニア州から2000マイル(約3200km)離れたアリゾナ州で発見されたことで明るみとなった。発端となるのは、2022年8月の少女の失踪だ。当時14歳であった少女が昨年8月3日に、自宅近辺にて姿を消した。家出の可能性は低いとして捜索するも、行方はつかめなかったたという。

しかし最初の失踪報告から11日後に、FBIとアリゾナ州・トルソン市警の捜査により少女の居場所が特定。少女はアリゾナ州に住む当時28歳の男性Ethan Roberts容疑者の自宅で発見された。調べによれば容疑者は少女とインターネット上のSNSをとおして知り合い、バスで少女を迎えに行き自宅へと招き入れた。その後自宅では少女に対して児童ポルノを強要したという。


アメリカ大陸横断にひとしい規模でおこなわれた誘拐事件が、わずか11日で解決にいたった最大の決め手はNintendo Switchにあったという。容疑者とともに自宅をはなれる際に、少女は自身の所有するSwitchを持参することを認められていたのだ。容疑者とともにアリゾナ州に滞在中の少女はこのSwitchを利用して『リトルナイトメア』をダウンロードしたり、長時間YouTubeを閲覧したり、インターネット接続が可能な状況下でアクティビティに興じていたのだ。このため、以前からSwitchでの交流があった少女の友人らは、失踪報告以降も少女のNintendo Switchアカウントがたびたびアクティブな状態にあることを発見し通報、情報提供をおこなった。


通報を受けたFBIはその後、任天堂に対し事態の緊急性を説明したうえで少女のSwitchアカウントに関する直接の情報提供を要請した(通常、このような企業に対する直接のデータ開示要請には裁判官の署名がなければ強制力はない。したがって企業がこうした要請に応じる場合の多くは、事態の緊急性を考慮しての判断となるという)。要請をうけた任天堂は該当するアカウントの無線LANネットワークの接続情報を提供。FBIは提供された情報を頼りにインターネットプロバイダ・IPアドレスの捜査を継続、誘拐された少女の保護および容疑者の確保へとつながったと報じられている。

本件に関連してABC15 Arizonaがおこなった専門家へのインタビューにおいて、アリゾナ州元公安局長Flank Milstead氏は「警察機関では容疑者や行方不明者の捜索においてデジタル機器のオンライン状況にもとづく追跡が頻繁におこなわれている」と語った。現代においてスマートフォン・タブレット・腕時計など、あらゆるデジタル機器がWi-Fi/LTEに接続されており、それらはもれなく捜査上の手がかりになるようだ。

なお、Roberts容疑者は、児童ポルノや性犯罪を目的として誘拐などの罪に問われ、連邦裁判所にて起訴。4月には懲役30年の判決を受けたそうだ。