Steamのとあるアクションゲーム、“開発スタッフ全員解雇”の噂をきっかけにユーザーレビューが「圧倒的に不評」に染まる
現在PC(Steam)向けに早期アクセス配信中のローグライトアクションゲーム『Neon Echo』について、先月6月中旬からユーザーレビュー評価が急降下している。ゲームそのものが不評というより、本作は本当に完成するのか、開発状況への不信感の高まりが背景にあるようだ。
『Neon Echo』は、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)の力を使って戦う、横スクロール・ローグライトアクションゲームだ。本作の世界は“ノイズ”に侵食されており、ノイズに苛まれた人々は狂乱し、モンスターに変異。EDMには、その変異を抑え、理性を取り戻すことができる力があるとして、選ばれし少年少女たちがノイズを排除するために戦う。
プレイアブルキャラクターは、現時点で剣士・銃士・格闘士の3種類が収録。それぞれの武器やスキルを駆使して、ランダム生成されるステージにて敵を倒していく。EDMをテーマにする本作には、BGMのリズムに合わせて攻撃を繰り出すことで技が強化されるユニークなシステムがある。またステージクリア時には、レコードが3つランダムに提示。レコードにはいくつかの属性と、それにかかわるアップグレードが含まれており、それによってキャラクターを強化しながらさらにステージを進んでいくのだ。
そして死ぬと拠点に戻され、最初からやり直しとなる。拠点では、前回プレイ時に獲得したアイテムを消費してステータスアップさせるなど、恒久的なアップグレードをおこなうことができる。
本作は、今年4月にSteamにて早期アクセス配信が開始。ユーザーレビューでは、まだ調整不足であったり、コンテンツ量が物足りなかったりといった面はあるものの、すでに一定のクオリティに仕上がっていることや、かわいいキャラクターたちの表現などが好評を得た。また、日本語ローカライズについても高評価で、早々に「非常に好評」ステータスを獲得。5月には最初の大型アップデートが配信され、今後のさらなる展開が期待されていた。
ただ、6月中旬頃になって不評レビューが増え始め、ついにはレビューステータスが「やや不評」にまで落ち込むことに。最近のレビュー(直近30日間)に絞ると「圧倒的に不評」ステータスとなってしまった。不評レビューのほとんどは中国語で書かれており、「本作は未完成(早期アクセス)のまま開発が放棄された」といった趣旨の内容と共に怒りや嘆きを表す投稿が多くみられる。
本作の開発元Xinyuan Studioは中国広東省に拠点を置くスタジオで、いくつかのモバイル向けゲームを手がけたのち、2022年に動画配信サービスなどを運営する中国大手企業bilibiliに買収されている。上述した、本作の開発が放棄されたという訴えの真偽は現時点で不明ながら、ちょうど不評レビューが投稿され始めた当時、あるユーザーがXinyuan Studioにて大規模なレイオフが実施されたと報告していた。
『Neon Echo』のbilibili公式ブログのコメント欄に6月10日に投稿されたそのユーザー報告によると、Xinyuan Studioでは今年5月にミーティングが開かれ、同スタジオが手がけていた『仙剣奇侠伝』シリーズ作品および『Code W9』なるタイトルの開発中止が決定したとスタッフらに伝えられたという。
その当時には『Neon Echo』の処遇は保留とされたが、6月6日になって本作に携わる全スタッフの解雇方針が伝えられ、6月16日が最終出社日になったとのこと。本作の開発中止の理由としては、今後も損失が続く、すなわち利益が見込めないとスタジオが判断したためとされている。投稿ではこのほか、これらの作品の開発中止によって同スタジオでは427人いたスタッフのうち約220が解雇されたことや、レイオフ対象となったスタッフへの補償内容の詳細が記されている。
現時点で、このユーザー報告の内容が事実なのかどうかは分からないが、本作については、パッチが配信された5月30日を最後に情報発信もゲームのアップデートも途絶えている。先述したように不評レビューが殺到し、Steamの掲示板でも開発中止に関する多数の投稿がおこなわれているが、それに対するXinyuan Studioからの反応あるいは反論もない。
投稿された中国ユーザーによる不評レビューなどでは、本作では利益が見込めないと判断されたという情報に触れ、見切りをつけるのが早すぎると指摘。中国で開発された作品に同様の例が過去にいくつかあったのか、国産の早期アクセス配信タイトルには気をつけるべきだとする意見もみられる。
なお、本作は6月30日から開催されているSteamサマーセールに参加しており、Xinyuan Studioあるいは親会社bilibiliに、本作の販売を継続する意思があることはうかがえる。先述したユーザー報告は単なる噂に過ぎず、今後も正式リリースに向けて開発が進められていくのか、あるいは開発を中止しながら販売だけ続けていくということなのか。何よりまず、本作の開発状況についての現状と将来についての公式発表が待たれる。
『Neon Echo』は、PC(Steam)向けに早期アクセス配信中。本稿で述べたとおり、本作は正式リリースに向けた見通しが不透明なため、当面購入に関しては慎重に判断すべきだろう。